一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-2-07] 電力センサーを用いたMCI患者分類のための機械学習モデル構築に関する研究

*木村 倫人1,2、西森 誠1,3、中奥 由里子1、村田 峻輔1、竹上 未紗1、尾形 宗士郎1、竹村 匡正2,4、西村 邦宏1 (1. 国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部, 2. 兵庫県立大学大学院情報科学研究科, 3. 神戸大学大学院医学研究科, 4. 国立循環器病研究センター 医療情報部)

MCI, electric power sensors, older people, machine learning

近年、アルツハイマー型認知症などの認知症に対する研究・治療薬開発が進むにつれ、認知症の前駆段階である軽度認知障害(MCI)にも注目が集まっている。MCIは適切な介入により認知機能が回復することが先行研究により示唆されており、認知機能の低下を早期に発見することは社会にとって重要であると考えられる。認知機能が低下すると、昼夜逆転を起こすなどして通常の生活を送るのが困難になることがわかっている。そのため、MCI患者にも何らかの生活状態に特徴が存在すると考えられる。
一方、IoT技術の発展により、日常のあらゆるものをデータ化し、蓄積することができるようになった。最近では、分電盤に取り付けることで、電力波形から使用されている家電を特定する技術を持つ電力センサーが実用化されている。このセンサーにより個人の生活状態を把握することができ、センサーから得られたデータを分析することでMCIを発見できる可能性がある。
我々は昨年の口頭発表において、研究に参加した宮崎県延岡市に住む65歳以上で、認知症と診断されていない84世帯88人を、認知機能検査のスコアで正常群とMCI群に分け、電力センサーから得られたエアコン、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器、テレビ、掃除機、IH、暖房器具の電気使用量について統計的な検討をしたところ、両者の間に有意な差は見られなかった。
そこで本研究では、電力センサーのデータを機械学習モデルに学習させることで、個人が正常かMCIかを分類することができるかを検討することを目的とした。具体的には、一次元畳み込みニューラルネットワークモデルを構築し、各家電の使用時間のデータを用いて正常かMCIかを分類を試みたところ、テストデータで正解率が0.690、適合率が0.19、ROC曲線のAUCは0.687であった。