Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-08] 医療アクセス困難者を対象としたオンライン連携診療の必要性、有効性

*Junichi Yamazawa1,2, Yohei Nagai3, Yoshinori Yamanouchi1, Michio Abe3, Fudeo Sakamoto3, Taishi Nakamura1 (1. 熊本大学大学院 医療情報医学講座, 2. 国保水俣市立総合医療センター 情報企画室, 3. 国保水俣市立総合医療センター 外科)

Telemedicine, Medical access, Health System Efficiency

【目的】水俣市では少子高齢化が進行(生産年齢人口51.7%、老年人口36.5%)する中、医療資源の偏在、居住地域における医療アクセスの差が生じている。介護従事者は慢性的に不足、移動には家族や介護スタッフの介助が欠かせない移動困難な患者も存在し、通院には家族・介護従事者に時間的、体力的、精神的な負担が生じており医療アクセス確保が課題となっている。 これらに対して、ICT技術等を活用し、医療・介護、住民の暮らしを支える仕組みとしてオンライン連携診療モデルの導入を検討した。【方法】 今回のオンライン連携診療では「くまもとメディカルネットワーク」を活用し診療履歴や検査、画像データ等を共有した。また、診療は患者に看護師や介護者が同席(D to P with N)する形を基本とし、医師と日常生活の様子も含め情報共有した。D to P with Nで実施することで、機器の操作等が不得手な患者でも安心して診療が受けられる環境を整え、患者やその家族にとっても安心できるオンライン診療の構築を検討した。【結果・考察】 アンケートにおいて、住民のオンライン診療への期待は比較的大きいものであった。また、介護施設等と連携したオンライン診療・看護支援の実証において、「医療機関への移動、診察までの待ち時間が無くなり、患者や介護従事者の体力的な負担、時間的制約が軽減されている」との声があり、特に高齢患者に関しては「普段の生活空間で診察を受けられることから精神的負担が軽減されている」との反応があった。診療医師からは、「日常的に患者と接する施設スタッフや家族等と情報共有ができ、生活環境等も確認できることから、診療方針を決める上でもメリットが大きい」、「聴診音も清明であり対面診療に劣らない」との意見を得た。 これらのことから、当事業で実施したオンライン診療の有効性・必要性及びD to P with Nによる連携診療体制の有用性が示唆された。