[2-G-3-02] NDBと死亡情報の連結における技術的課題の検討
Database Integration, NDB, Mortality, Death Form
【背景と目的】レセプト情報・特定健診等情報データベース(以下、NDB)を用いてコホート研究する上で、アウトカムである死亡に関する情報は重要である。しかしながら2022年6月時点ではNDBを個人単位で他の情報と照合することは法令によって禁止されている。一方、同年2月に開催された規制改革推進会議(以下、規制改革WG)で、厚生労働省はNDBと死亡情報を連結・解析する仕組みに向けた検討を、2022年度から開始すると表明した。本研究では、NDBと死亡情報の連結における技術的課題を明らかにすることを目的とした。 【方法】NDB・人口動態調査死亡票を取り扱った経験及び公表資料から、NDBと死亡情報の連結における課題を技術的観点から検討した。本研究の死亡情報とは、死亡の有無、死亡日及び原死因と定義した。 【結果】NDBが格納または連結出来得る死亡情報は主に2つあり、1つは保険者が資格喪失届によって保有する情報、もう1つは市町村が死亡届・死亡診断書から取得する死亡票である。審査支払機関から保険者に送付されるレセプトのうち、資格確認運用レコードに資格喪失日が、資格確認レコードに資格喪失事由コードが記載され、これらがNDBに格納されると死亡の有無及び死亡日が判明する。死亡票には漢字氏名、生年月日、性別、死亡日、原死因等が含まれるが、個人単位被保険者番号やマイナンバーは含まれない。死亡票の漢字氏名・生年月日・性別からハッシュ値を作成すると、NDBの個人識別IDであるID2と名寄せできると考えられる。しかし漢字の名寄せ(例:渡邊と渡辺)の課題はこれまで通り存在する。 【結論】NDBに原死因を紐づけるためには死亡票との連結は不可欠だが、死亡票に個人単位被保険者番号等が含まれない現状では、名寄せが課題である。なお、詳細抄録及び学会発表時は、厚生労働省や規制改革WG等の最新の情報を踏まえた上で報告する。