Japan Association for Medical Informatics

[2-G-3-05] ICFの構成要素による退院サマリーの様式の検討

*Takehiko Mita1 (1. 川崎医療福祉大学 医療情報学科)

Discharge Summary, Functioning, ICF

【背景】退院サマリーは、入院患者の退院に際して、関与する他の診療科、他の医療機関ならびにケア施設間で効率的に情報を共有し、当該患者の診察、治療、ケアを適切に連携・継承できるよう作成されるものである。そこでは、今後の診療・ケア担当者にとって、患者の生活機能全般についての情報を収載することの重要性が指摘されてきている。一方、国際生活機能分類(ICF)は人の生活機能を記述する概念枠組みと分類項目を提供している。【目的】退院サマリーの11領域をICFから見直し、患者の生活機能全体を把握できうるより適切な退院時サマリーの様式を考察することである。【方法】退院サマリー作成に関するガイダンス(日本医療情報学会・日本診療情報管理学会, 2019.)に示される「退院サマリーの構造」の11領域(1:基本情報〜11:退院時方針)をICFの構成要素(心身機能・構造、活動、参加、環境因子、個人因子)で分類した。【結果】「基本情報」は個人因子、「退院時診断」は心身機能・構造(もしくはICDで分類される)、「アレルギー・不適応反応」、「デバイス情報」、「入院経過」は環境因子と心身機能・構造、「主訴,または入院理由」は分類不能(特に主観的な内容について)、「入院までの経過」、「退院時方針」は心身機能・構造、活動、参加、環境因子、個人因子の全て、「手術・処置情報」、「退院時使用薬剤情報」は環境因子、「退院時状況」は心身機能・構造、活動、参加にそれぞれ分類された。【考察】退院サマリーのほとんどの領域はICFで分類可能である。しかし、ICFの構成要素の参加に該当する項目が明確に位置づけられているとは言い難い。適切な退院サマリーの様式は、生活機能全体を網羅し、advance directive(living will)が重視され、退院後の治療・支援方針を本人の希望する「参加」を基礎に検討できるものにすべきである。