Japan Association for Medical Informatics

[2-H-1-02] RPA (Robotic Process Automation) による医療情報システムからのデータ抽出の自動化 ~仮想環境及びクラウドサーバーにおける構築~

*Yasuhiro Shimizu1,2, Yoshinori Yamashita1,2, Yuriko Otani3, Hitomi Asai4, Nobuyuki Goto1,5, Yuji Kuwabara6, Miyuki Kinoshita7, Takahiro Otani8, Masaru Inatani1,2,9 (1. 福井大学学術研究院 医学系部門, 2. 福井大学医学部附属病院 医療情報部, 3. 福井大学医学部附属病院 放射線部, 4. 福井大学医学部附属病院 栄養部, 5. 福井大学医学部附属病院 薬剤部, 6. 福井大学医学部附属病院 看護部, 7. 福井大学事務局 病院部総務課, 8. 福井大学事務局 病院部医療サービス課, 9. 福井大学医学部感覚運動医学講座 眼科学)

RPA, Medical Information System, Data Extraction, SBC, Cloud

電子カルテ及び各種部門システムで構成される医療情報システムは、診療情報を始め病院運営における膨大な量の情報を有している。特定の情報の検索と抽出、表計算ソフトウエア等への転入力、集計、保存などの作業は職員の手作業で実施されているのが現状であり、これらの作業には多くの時間と労力を要する。近年、RPA (Robotic Process Automation)の概念が確立し、人間が実施していた事務作業をロボットと呼ばれるソフトウエアで自動化する試みが行われ始めている。既存研究では、このRPAを医療情報システムに適用して本格的に運用を行っている実績は少なく、その実現には技術的な課題が多くあると考えられる。福井大学医学部附属病院で稼働している医療情報システムは、SBC (Server Based Computing)による仮想基盤、院外サーバーに大部分のデータを保管するクラウドシステム(ごく一部のデータはオンプレミスにも複製保管するハイブリッド仕様)、ネットワーク構成を動的に制御するSD-WAN (Software Defined Wide Area Network)を導入している。院内のオンプレミスのサーバーでデータ運用しローカル端末上で医療情報システムのソフトウエアを起動させる一般的な医療機関の方式と比較すると、当病院のシステム環境へのRPAの導入は技術的な難易度が高い。そこで我々は、医療情報システムにおけるRPAの実現に向けて院内ワーキンググループを立ち上げ、技術面・運用面の課題の洗い出し、実際にRPAソフトウエアを導入して動作検証・改良等の施策を実施している。これらの知見から、医療情報システムのデータの取扱いにおいてRPAによる自動化の環境が確立できつつあるため、その課題と対策等の技術的報告を行う。