[2-H-1-03] RPA(Robotic Process Automation)を用いた医療安全及び医療の質向上に関する業務管理促進への取り組み
Robotic Process Automation, Hospital Information System, Electronic Medical Record System, Medical Safety, Quality of Medical
【背景】本院は、これまで病院情報システムに対してRobotic Process Automation(以下、RPA)と呼ばれる、業務を代行・自動化するソフトウェア型ロボット(以下、ロボット)を用いて医療従事者への業務負担軽減を中心としたロボットを導入してきた。この度、ロボットの特性である時間外・休日問わず処理を可能とする利点を生かし、医療従事者への伝達業務を通じて、医療安全及び医療の質の向上に向けた業務管理促進を行ったので報告する。 【方法】RPA対象業務は、医療従事者への伝達機能(ToDoメール・患者掲示板・リスト配布)による業務で、1)ToDoメール業務:依頼医、指導医に向けて放射線レポート未読を既読に促す業務(放射線未読管理)2)患者掲示板記載業務:医師、看護師、薬剤師にせん妄ハイリスク対策登録を促す業務(せん妄対策)3)リスト配布業務:入院患者の外来検査リストを自動作成し指定端末に配布を行う業務(外来検査リスト配布)とした。各担当部署から業務内容をヒアリングし、医療情報担当者が各ロボット機能を開発し稼働した。 【結果】1)放射線未読管理ロボットは、約250件/月以上の未読削減効果があった。2)せん妄対策ロボットは、対応症例をロボット稼働前約1300件から稼働後1.2倍の約1600件の増加となった。3)外来検査リスト配布ロボットは、ロボット稼働前で入院患者の検査実施遅延によるインシデント件数が約2か月1回発生する事例がロボット稼働後ゼロとなった。 【考察】医療従事者への伝達機能により業務管理が可能となり医療安全対策、医療の質向上、業務時間削減等の効果にも繋がったと考えられる。また、医療従事者の働き方改革によるタスクシフティング及び業務効率化にも繋がったと考えられる。 【結論】RPA業務は、医療安全対策、医療の質向上、業務時間削減等の多領域で有用であることが示唆された。