Japan Association for Medical Informatics

[2-H-1-06] 医療機器の情報ネットワーク接続状況からの知見と今後の利活用

*Akira Yutani1,2, Toru Inoue2, Yoshifumi Atarashi3, Tomohiro Kuroda2,1 (1. 京都大学大学院 医学研究科 附属医療DX教育研究センター 医療データ基盤部門, 2. 京都大学 医学部附属病院 医療情報企画部, 3. アラクサラネットワークス株式会社 経営戦略部)

Network Traffic Analysis, Device Management, Patient Convenience

医療情報と言えば一般的に電子カルテで扱われる患者情報やその検査結果など,診療に直接関わる情報を指し示すことが多いが,情報ネットワークに接続される様々な機器の通信情報も広義の意味で医療情報として取扱われ,特定の日時や場所,または,統計的に分析を行うことで様々な有益な情報として利活用可能であると考えられる.

これまで,情報ネットワークの接続性や通信状況把握の必要性として,運用の維持管理面から主に通信不調時の原因追求に使用されてきたが,例えば電子カルテを使用しているノート型 PC 端末,または,ある特定の測定機器の接続状態を統計的見地から検証することで,機器の使用実態を入手し,使用頻度や使用場所の特定,患者へのサービス向上,機器の安全運用など,様々な目的に利用することが可能となる.

本研究では,情報ネットワークへの接続機器の一例として,診療に実際に使用している「回診用 X 線撮影装置」の使用状況の把握についての検証を行い,各種接続機器の状況把握の有効性についての報告を行う.情報ネットワークへの接続の状況は,セキュリティ監視装置として導入している Alaxala 社製 AX-SC (Security Controller) を使用し,約 15,000 端末の収集情報から抽出および分析を行った.今回の「回診用 X 線撮影装置」や電子カルテ用ノート PC 端末,照合端末用スマートフォン等の情報ネットワークへの接続は無線を介しての接続で,Wi-Fi アクセスポイントの設置密度 (平均 15m) での位置特定が可能となっている.

今後,各所壁面やベッドサイド等に配置の有線系の情報ネットワークの接続状況の分析により,より特定された場所での機器の状況把握が可能になると考えられ,患者を特定した上での新たな知見が得られることが期待される.また,病院経営的には,各機器の使用頻度分析により,無駄な増資を行わず,最適で効率的な機器使用も期待される.