[2-H-2-05] 自己管理補助システムを用いた2型糖尿病患者に対するウォーキングの効果に関する検討
Diabetes mellitus, Self-management support system, Randomized controlled trial
世界的に2型糖尿病患者は著しい増加傾向にあり,その合併症である糖尿病性腎疾患(DKD)は我が国においても末期腎疾患の主たる原因となっている.末期腎不全から透析の導入を防ぐため,早期から糖尿病性腎疾患(DKD)を管理し,末期腎不全への進行を予防することが重要である.DKDの進行抑制には生活習慣改善が重要である.特に,身体活動量の増加は昨今,その重要性と意義が強調されている.そこで,生活習慣の改善を目的とした自己管理を補助するためのシステム「DialBetesPlus」を開発した.DKDに対する自己管理補助システム「DialBetesPlus」の有用性を調べるため,糖尿病性腎症2期の2型糖尿病患者132名を対象としたランダム化比較試験(登録番号:UMIN000033261)を実施した.介入期間は12ヶ月,その後の観察期間は6ヶ月であった.主要評価項目の尿アルブミン・クレアチニン比および副次評価項目のHbA1cは有意に改善し,システムの有用性が示された.ここでは,自己管理補助システムを使用した患者を対象にウォーキングの効果を検討した. HbA1cと日々の歩数のデータを用いて,共分散分析によってHbA1c(%)の変化量と歩数の関係を調べた.その結果,試験開始後12か月間の平均歩数1000歩あたりHbA1cの変化量は—0.065(95%CI[—0.114, —0.016],p=0.009)であり,HbA1cと歩数には有意な関連があった.一方,歩数およびウォーキングの記録日数の推移は,試験期間中に徐々に低下する傾向であった.平均歩数が多いほどHbA1cの減少量が大きくなるという結果であった.ウォーキングが習慣化できれば,このウォーキングの効果をさらに高めることが期待された.今後,システムの有用性をより高めるために,ウォーキングを習慣化するような介入方法について工夫していく予定である.