Japan Association for Medical Informatics

[2-H-2-07] 三大生活習慣病患者での急性心疾患と急性脳血管疾患の発症関係の検討

*Yukio Kurihara1, Yuki Hyohdoh2, Hiroaki Kitaoka3 (1. 高知大学医学部看護学科基礎看護学講座, 2. 高知大学医学部附属医学情報センター, 3. 高知大学教育研究部医療学系老年病・循環器内科学)

Data Analysis, Prediction of Appearance, Lifestyle-related Diseases, Acute Cardiovascular Disease, Acute Cerebrovascular Disease

【背景】中高齢者で代表的な生活習慣病である糖尿病、高血圧症、高脂血症の1つまた複数を罹患している患者は、急性循環器疾患の発症リスクが高いことは知られているが、発症予測は難しいとされている。今回、生活習慣病、急性脳血管疾患、急性心疾患の発症順序に着目してみると、急性脳血管疾患が急性心疾患に先行して発症している例が多いことが分かった。【目標】生活習慣病患者での急性心疾患の発症における急性脳血管疾患の先行発症状況を丁寧に解析することにより、急性脳血管疾患の先行発症が急性心疾患の発症リスク因子とし得るかを検討する。【方法】高知大学病院の病院情報システムIMISに蓄積されたデータの匿名化データ用いて、三大生活習慣病のどれかに罹患している患者で虚血性心疾患を発症した者を抽出し、三大生活習慣病の診断日、急性脳血管疾の診断日で発症順序を把握し、急性脳血管疾発症から虚血性心疾患発症までの日数によって頻度が変化するか調べた。用いたデータは1991年から2010年までの20年間のデータである。【結果】高知大学病院は3次救急医療機関であるため、急性心疾患の患者は多くなく、三大生活習慣病の診断日から急性心疾患の診断日までが2か月以上あった患者は347名であった。急性心疾患と急性脳血管疾が同時が16名(4.6%)、急性脳血管疾が先行した例が98例(28.2%)であった。98例中46例は急性心疾患発症までに日数が800日以内にあり、日数と共に急激に少なくなっていた。【考察】心脳卒中として急性心疾患と急性脳血管疾が同時に発症することは知られていたが、それよりも急性脳血管疾が急性心疾患が先行発症する割合が大きいことが分かった。このことは、急性脳血管疾の先行発症が短期間であれば、急性心疾患の発症リスク因子として利用できる可能性があることを示していると考える。