Japan Association for Medical Informatics

[2-H-3-03] 構造化された放射線レポートから重要所見を抽出する技術の開発

*Kento Sugimoto1, Shoya Wada1,2, Shozo Konishi1, Katsuki Okada1,2, Shiro Manabe1, Yasushi Matsumura1,3, Toshihiro Takeda1 (1. 大阪大学大学院 医学系研究科 医療情報学, 2. 大阪大学大学院医学系研究科 変革的医療情報システム開発学寄附講座, 3. 国立病院機構大阪医療センター)

Natural Language Processing, Radiology, Follow-Up Studies

【目的】主治医は診断のプロセスの一部として、画像検査をオーダーし、画像検査が実施される。検査後、放射線科医は放射線レポートを主治医に返す。そこには、診断やフォローアップに関する重要な情報が含まれるが、日常の診療業務に追われる主治医の確認漏れなどのヒューマンエラーが原因となり、適切な対応が取られないことがある。レポートに患者の生命に関わる重要な情報が含まれている場合、それを見落とした場合は深刻な問題に発展しかねない。この問題の解決に向けて、我々は「重要所見を含むレポート」を抽出するシステムを開発することを目指した。
【方法】 本研究では「ある患者の特定の領域において、はじめて『がん』を疑う記述があった所見」を「重要所見」として定義し、そのようなレポートを抽出することを目指した。まずは、機械学習により、レポート中の臨床所見を認識し、それらが存在する解剖学的区域とペアとして抽出する。また、各臨床所見について、放射線科医がどの程度の確信度を持って疑っているかについて、5段階のスコアを機械学習により付与しておく。次に、事前に抽出した臨床所見の用語リストから、「がん」を疑う臨床所見を抽出しておく。放射線レポートの臨床所見が「がん」を疑う臨床所見であり、かつ、事前に設定した閾値以上の確信度スコアである場合にシステムが「がんを疑うレポート」として抽出するようにした。初期実験として、大阪大学医学部附属病院の放射線レポートのうち、2020年に作成された30,165枚の胸腹部CTレポートについて、本システムを適用して「がんを疑うレポート」を抽出したレポートの正当性について評価した。
【結果】 本システムを適用した結果、6,007枚のレポートが抽出された。その内容の一部を定性的に評価し、抽出結果の正当性を確認した。
【考察】 今後はシステムの定量的な性能評価に向けて、システムの感度・特異度を評価する。