Japan Association for Medical Informatics

[2-H-3-07] リスクマネージメントマニュアルの閲覧がインシデントレポート報告に及ぼす影響

*Noriko Sasaki1,3, Ryota Sakamoto2, Mariko Tsujimura1,4, Kae Iwamoto1,4, Rie Uebayashi1,3, Yumi Ichikawa1,4, Ritsu Honda2,3, Yusuke Iizawa1, Toshihiro Kaneko1 (1. 三重大学医学部附属病院 医療安全管理部, 2. 三重大学医学部附属病院 医療情報管理部, 3. 三重大学医学部附属病院 薬剤部, 4. 三重大学医学部附属病院 看護部)

Medical safety, Risk management , Incident reports, Manual Reading

【背景】事故を未然に防止することは医療機関の責務であり、その中でリスクマネージメントマニュアル(以下、マニュアル)の整備は不可欠である。三重大学医学部附属病院(以下、当院)の医療安全管理部は、各診療科等に共通するマニュアルを作成し、関係職員に周知して医療事故等の防止を図っている。【目的】当院ではマニュアルを常に見直し、随時改訂している。マニュアルは内部情報ネットワークを通じて閲覧可能であり、その一部は各自が常時携帯する職員手帳にも掲載されている。今回、マニュアルの閲覧状況を調査し、今後の課題を検討した。【方法】調査期間は、マニュアルを第10.0版に改訂した2019年5月から第11.0版へ改訂するまでの2022年4月とし、閲覧状況の調査はWebLog Expertを用いて行った。調査内容は、閲覧者数、閲覧時間、閲覧内容、閲覧時の使用端末、マニュアル閲覧状況とインシデントレポート報告件数との関連等とした。【結果】調査期間中の閲覧者数は延べ13,712名であり、1日あたり12名が閲覧し、閲覧時間帯は13時台が最も多かった。閲覧内容は「医薬品の安全管理」が最多であった一方で、閲覧者数の乏しい内容もあった。閲覧時は電子カルテ端末の使用が大半を占め、スマートフォンやタブレットは稀であった。マニュアルを改訂した翌月の閲覧者数は、全7回の改訂中6回で増加を認め、閲覧者数の多い月はインシデントレポート報告件数が少なかった。レベル3b以上のインシデントレポート報告件数と閲覧者数との関連性は無かった。【考察】マニュアルの閲覧は医療事故を未然に回避できる可能性が示された。閲覧内容に偏りがあることから、マニュアルの認知度や臨床現場でのニーズを探索する目的で職員アンケートを実施し、特に重大なインシデントが発生した際に、関係職員が必要とする情報を平易、かつ速やかに確認できる環境整備が今後の課題である。