一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-1-02] 組織改変に伴う診療科名の変更時における病院情報システムの対応方法の検討

*渡辺 清美1、中島 典昭1、岡田 幸枝1、北村 和之1、田中 勝弥2,1、向井 まさみ1、三原 直樹1 (1. 国立がん研究センター中央病院医療情報部, 2. 国立がん研究センター情報統括センター)

HIS, Master Management, Change of Clinical Department

【背景・目的】 大学病院など多数の診療科で構成される医療機関では、組織改変による診療科名の変更は頻繁に起きる。しかし、稼働中の病院情報システム(HIS)において柔軟に対応できるシステムは少ない。本院では、2021年度に組織改変があり、2つの診療科の変更要請があった。その際、過去記録の真正性を担保しつつHISで診療科名の変更を目的として、システムでの制約事項や課題を整理した上で実現可能な方法を検討した。 【方法】 今回、腫瘍内科と検診センターへの診療科名変更の2案件を対象に検討した。本院のHISでは、診療科名マスタに新たなコードを追加する対応が必要であるが、新コードを新診療科名で利用する方法(方法1)と、旧コードを新診療科名に新コードを旧診療科名に設定した上で、変更日を基準として過去データに格納される旧コードを新コードに変換することで、過去の記録を旧診療科名で正しく表示させる方法(方法2)を考えた。この2つの対応方法についてメリット・デメリットをメンテナンスの作業範囲、期間、費用および現場の作業負荷を整理し、各案件において最適な方法を選択し実施した。 【結果】 比較検討の結果、腫瘍内科の案件では方法1を採用し、検診センターの案件では方法2を採用した。どちらも旧診療科名と新診療科名の記録を正しく残すことができた。変更方法の選択において、診療科の特性により影響する部門システムの影響範囲が異なる点や先付のオーダ数の違いなどで、作業量やそれに伴う費用に大きな差が出ることがわかった。 【まとめ】 今回検討した対応方法では目的を達成できたが、多くのシステムで対応に多大な労力が必要であった。HISを構成するすべてのシステムにおいて、病院の組織改変にも柔軟に対応できるような構成・機能の実装を期待する。