一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-1-03] SS-MIX2日付データ項目に対する意味論的な調査:方法論確立に向けた実証研究

*山下 暁士1、諸橋 朱美2、朝田 委津子1、白鳥 義宗1 (1. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター, 2. 名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部 データセンター)

SS-MIX2, Data Quality, Data validation, Real World Data

【目的】従来、SS-MIX2の各データ項目に格納されたデータは、どの病院も同等の意味内容であると仮定し、データの活用が行われてきた。しかし、この仮説が真である保証はない。今回は、意味論的な同等性を検証するための方法論の検討と課題の抽出を目的に実証研究を行った。
【方法】対象は、SS-MIX2標準化ストレージで規定されているデータ項目の中でも臨床研究に用いられる可能性が高い日時データ項目とした。まず、対象データ項目が病院情報システムのどの入力画面で入力されたデータ由来で、SS-MIX2メッセージとして作成される過程でどのような変換を受けているかを調査した。次いで、マニュアルなどを利用して、どの職種が入力しているデータなのかを調査し、それに基づき、入力のタイミング、方法、入力者などについてインタビューによる調査を実施した。
【結果】日付に関するデータ項目51項目のうち、12項目は出力されていないか、固定値が出力されているため調査対象から除外した。また、19項目はデータフロー調査の結果、他の調査対象項目のコピー、もしくは一部コピーであったため、インタビュー調査対象から除外した。そのため、インタビューまで行った項目は20項目であった。 インタビュー調査を行った対象は医事課職員 2項目、看護部 9項目、医師 9項目、病棟看護師 2項目、臨床検査技師・検査受付2項目であった。1項目で複数部署にインタビューしたものが4つあった。20項目中、11項目は入力のトリガー、画面、入力者などが1パターンであった。残り9データ項目には複数の入力パターンが存在していたが、そのうち5項目は意味内容がなるべく同じになる様に工夫されていた。
【結論】SS-MIX2日付データの意味論的な調査を実施した。いくつかのデータ項目では1つのデータ項目に複数の意味合いを持つデータが入っており、利用に際しては注意を要することが判明した。