Japan Association for Medical Informatics

[2-I-1-05] 当院におけるCOVID-19診療に関わるケアユニット配分の最適化に関する検証

*Kenichi Saito Saito1, Yukiko Mori1, Mototsugu Takemoto1, Kana Matsukawa1, Kentaro Honma1, Tsuyoshi Sugino1, Shusuke Hiragi1,2, Tomohiro Kuroda1 (1. 京都大学医学部付属病院, 2. 田附興風会 医学研究所 北野病院 )

COVID-19, ICU, Cost management

COVID-19禍における診療体制を構築するにあたり、本邦では大半の病院で医業収支が赤字となった反面、潤沢な補助金投入の結果、黒字化した病院も認められた。COVID-19診療体制を構築にあたり、診療エリアの確保とそれに伴うゾーニングによる休眠病床が発生し、補助金はいずれに対しても支払われるが、COVID-19最重症例の診療は主にケアユニットで行われることとなり、一部の急性期病院においては診療抑制状態をやむなくされ、医業収支本体に影響するケースが認められた。 京都大学医学部附属病院は、同院に従来求められる医療の継続的な提供とCOVID-19最重症例診療との両立に苦慮し、補助金を加味しても大幅な赤字に転落した。今回我々は、適正な医療を提供し、かつ、経営的にも負債を最低限に抑制することを主眼とし、診療体制構築に必要な医療資源の最適化に関してシミュレーションを行い、後方視的に分析を行うこととした。ケアユニットのベッド数と、COVID-19および各ケアユニット診療ベッドあたりに必要な看護師数を主な変数として、予想される稼働額、補助金額について試算し、実際の収支や、手術件数の推移と比較検討を行う。 補助金を考慮した病院収益の適正化と、要請に応じたCOVID-19 の診療体制構築・維持を両立するためには、本来空床の少ないケアユニットにおいて相当数の休床が必要となり、その結果手術件数の抑制をはじめとする診療抑制を行わざるを得ない状況に陥る。今回のCOVID-19禍における補助金の運用は、COVID-19とその他の重症患者との診療の両立の面において、患者にとっても病院にとっても重い負担をもたらした可能性がある。今後同様の事態が発生した際には、本研究において考察したモデルのように変数を設定し、最適な収益性に配慮しつつ、社会的ニーズに応え得る診療体制を整備することが妥当と考える。