Japan Association for Medical Informatics

[2-I-1-07] 重症度、医療・看護必要度B項目を用いたクリニカルパスのバリアンス発生要因の検討

*Junichi Yamakami1, Ayuko Yasuda1, Masayosi Sarai2 (1. 藤田医科大学病院 医療の質・安全対策部 医療の質管理室, 2. 藤田医科大学病院 循環器内科)

severity and the need for medical/nursing care, clinical pathway, Variance Analysis

【はじめに】クリニカルパス(以下、パス)の運用にはパスの分析と見直しが重要であり、当院では退院時バリアンス(入院日数)の分析を行っている。これまでは治療経過を中心に検討を行ってきたが、入院日数に影響を及ぼす要因としては、患者のADLも重要と言われている。そこで重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)を用いて、ADLの側面からバリアンス発生に影響を及ぼす要因を分析した。
【方法】対象は2021年4月から2022年3月までの期間に入院していたパス適用症例とした。バリアンスの集計は、入院日数がパス標準日数を超え、かつ医師が判断したものを負のバリアンスとし収集した。看護必要度はDPCデータHファイルより抽出し、B項目合計点を①入院時、②入退院日を除く中間時点の最大値、②退院時の3点で抽出した。また、影響要因の分析にはバリアンスの有無を目的変数とし、B項目小項目得点を用いてロジスティック回帰分析を行った。
【結果】パス適用症例は7813件で、バリアンス件数は2173件であった(27.8%)。B項目合計点において、バリアンス無し群と発生群の中央値の比較では、①0.0vs3.0、②3.0vs5.0、③0.0vs2.0であり、すべての時点で有意差(p<0.01)を認めた。ロジスティック回帰分析の結果は、①で、[寝返り(OR:1.6)]、[口腔清拭(OR:3.4)]、[衣服の着脱(OR:1.2)]、[診療・療養上の指示が通じる(OR:2.1)]の項目が有意な回帰係数(P<0.05)として認めた。
【考察】今回、退院時バリアンス発生の有無を看護必要度B項目から検討を行った。バリアンス発生患者は入院時点からB項目得点が高い低ADL患者で、認知機能に問題がある患者に発生しやすいことがわかった。これにより個々の患者のベースのADLもバリアンス発生に大きく影響していることが示唆された。