Japan Association for Medical Informatics

[2-I-2-05] 患者への意識調査に基づいたオンライン診療および医療機関の電子化に関する調査研究

*Mayumi Yoshida1,2, Ryuichi Yamamoto1,2 (1. (一財)医療情報システム開発センター, 2. (一財)匿名加工医療情報公正利用促進機構)

Online medical care, Questionnaire survey, MHLW Guidelines for Safety Management of Medical Information Systems, Covid-19

2020年初めから続く新型コロナウイルス感染症の影響への対策の1つとしてオンライン診療が注目された。オンライン診療を対応可とする医療機関も増えた。しかし患者側の環境やITリテラシーが上がった訳ではなく、医療機関側でも、全てが対面診療と両方に適した環境設備を備えてはいない。またオンライン診療とは直接関係はないもののサイバー攻撃を受けた医療機関の被害も報道されている。
 上記を踏まえ、患者を対象にオンライン診療や医療の電子化への意識や現状を把握する目的で、昨年3月と今年3月に2度Webアンケートを実施し、結果を比較分析した。回答者は1年以内に受診歴のある18歳以上1000名程度で、調査票もほぼ同じものを使った。
 今年はオンライン診療の経験者は60名、オンライン診療は「受診歴のある、かかりつけの医療機関」が大部分で、患者は殆どが自身所有の情報通信機器を利用し、経験者の殆どはオンライン診療に満足していた。対象者全員ではオンライン診療の必要性は肯定的な意見が殆どだったが、医療機関での電子データの管理について、患者にHPや掲示で丁寧な説明が必要とする意見が目立った。2度の調査結果の比較で、オンライン診療の経験者はわずかに増加し、オンライン診療システムが少しずつ医療機関に普及し、大手ベンダーによりアプリが患者側に提供され、特に患者側で整備の必要もなく、オンライン診療の受診のハードルが下がった点がある。オンライン診療では、現在は電子カルテと連携するシステムは少なく、患者が自身の端末に適切なセキュリティ措置を施していればウィルス感染はある程度防ぐことは可能なものの、将来はさらに有機的に対面診療と組み合わされるようになり、PHRとの連携も考慮すると、電子カルテと連携することも予想される。サイバーセキュリティ対策は診療情報を預かる側の責任として適切にリスク分析を行うべきである。