Japan Association for Medical Informatics

[2-P-1-01] 読影アラート機能における複数のアラートレベルの運用のカルテ記載に対する評価

*Yousuke Aoki1, Yuki Tanaka1, Yoshinori Kodama2, Toshiaki Tanaka1, Aya Hashimoto1, Tatsuji Enomoto1 (1.大船中央病院, 2.株式会社メドレー)

Image Diagnostic Report, Notification System, Medical Report

背景:2014年10月より読影アラート機能を運用しているが,アラートを出す・出さないの2択しか選択肢がなかった。2022年3月,アラートの強弱を2段階で付けられるように機能を改良した。
目的:複数のアラートレベルを設けることにより,カルテの記載内容に変化があるかどうか,評価する。
方法:対象は,改良前2021年12月から2022年2月,改良後2022年3月から5月に期間内にアラートが出た症例。アラートの契機となった所見およびこれに関連する記載が検査依頼医のカルテの中にあるかどうかを確認した。また,改良後のアラートの強弱ごとにカルテ記載の有無も確認した。各々フィッシャーの正確確率検定により評価した。なお,いずれもコピーアンドペーストのみのものは記載無しと同等とした。
結果:対象検査数は216件(改良前86件,改良後130件)で,このうちカルテ記載があったのは改良前75件,改良後122件であった。改良後130件のうち,強いアラート20件,弱いアラート110件で,カルテ記載があったのは強20件,弱102件であった。いずれも統計的有意差はなかった。
考察:機能改良前後で,アラートの内容がカルテに記載される割合に,変化はなかった。また,機能改良後,アラートの強弱がカルテ記載に与える影響も認められなかった。強いアラートでは,全例でアラートに関するカルテ記載があった。強いアラートは,緊急性が高いもしくは依頼医の専門外の所見があった場合に利用することから,自然と強く意識され臨床判断への影響も強いのに対し,弱いアラートは緊急性は相対的に低くなるが,臨床的価値の低い情報というわけではなく,弱いアラートの場合でもカルテ記載を促す方策を検討する必要があると考えた。
結論:複数のアラートレベルを設けることによるカルテの記載に大きな改善は見られなかった。カルテ記載を促すには別の対策が必要である。