[2-P-2-01] ロボット支援下根治的膀胱摘除術の費用最小化分析
Cost Analysis, Robot Surgeries, Cystectomy
【背景・目的】膀胱全摘除術では、従来の治療法である開放型根治的膀胱全摘術(ORC)に対して、ロボット支援下腹腔鏡下膀胱全摘術(RARC)が2018年から保険収載され普及が進んでいる。RARCにより出血量・合併症の減少や、入院期間の短縮が報告されている一方、診療点数はORCで9990点低い。またRARCにおける尿路変向術には体腔外尿路変向術(ECUD)と体腔内尿路変向術(ICUD)がある。ECUDと比較して、腸管を外気に触れさせないICUDの方が理論的には低侵襲とされている。そこで本研究では、膀胱全摘術における治療方法の費用対効果の視点からの選択支援を目的として、ORCと比較したRARCの費用対効果を検討した。【方法】分析対象は筋層浸潤性、またはハイリスクな筋層非浸潤性の膀胱がん患者とし、分析視点は公的医療の立場とした。分析方法は費用最小化分析として、分析する費用はRARCとORCの術後90日間の手術関連費用、入院費用、合併症・輸血に関わる費用とした。分析には決定木モデルを用いた。モデルの確率パラメータはシステマティックレビューおよびメタアナリシス等により、費用は二次データ等から積み上げにより推計した。費用計算はECUDとICUDのそれぞれについて行った。【結果・考察】システマティックレビューによってECUD、ICUDによるRARCとORCを比較した論文をそれぞれ5編、1編抽出した。ランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスの結果、RARCで輸血率は低かったが、合併症発症率に術式間で有意な差はなかった。ORCの費用は2,261,274円で、ECUDでのRARCの費用は2,362,656円、ICUDでのRARCの費用は2,375,231円と、尿路変向の違いではICUDで12,575円高い。感度分析の結果、入院期間の影響により、RARCが費用削減となる可能性が示された。