一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-2-02] ベイズ補正標準化死亡比を用いた死亡と医療資源、社会資源の関連性の分析

*後藤 文徳1、小笠原 克彦2 (1.北海道大学大学院保健科学院、2.北海道大学大学院保健科学研究院)

EBSMR, multiple regression analysis, disease map

北海道において札幌市は人口が約190万人で最大であり、一方で人口が最も少ないのは1499人の島牧村であり1266倍の違いがある。そのため各市町村の医療格差を分析する際、死亡率を用いた比較では人口構造の影響を受けるため単純な地域間比較が難しい。そこで本研究では、1人当たりの偶発的な死亡を考慮し、地域間の人口構造の影響を少なくした死亡比の算出が可能であるベイズ補正標準化死亡比(Empirical Bayesian Standard Mortality Ratio:EBSMR)と医療資源および地域指標を用いて、急性疾患を対象に地域格差に影響を与えると考えられる要因の影響の分析を試みた。本研究では平成27年を対象に、北海道内の市町村・性別ごとの急性心筋梗塞、脳血管疾患のEBSMRを算出し、医療資源として人口10万人あたりの医師数・病床数・救急告示病院数を、地域指標として、第一次産業人口、第二次産業人口、第三次産業人口、完全失業者数、高齢者世帯数を説明変数として重回帰分析モデルを構築し、各変数とEBSMRとの関連性を分析をした。医療資源、地域指標は北海道保健統計年報を、死亡データは人口動態統計を用いた。EBSMRの算出および重回帰分析は統計分析ソフトR ver.4.1.2.を用い、地理情報分析支援システム MANDARA10(ver.10.0.1.3)により視覚化を行った。本研究の結果、女性の急性心筋梗塞死亡数と高齢者世帯数において有意差が認められた(P=0.01)。男女の脳血管疾患および男性の急性心筋梗塞においては有意差が認められなかった。今後、対象年度を変更した再分析を行うとともに、今回の結果から得られた女性の急性心筋梗塞と高齢者世帯数の関係性について検討を行う予定である。