一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-3-01] AI顔認証システム認識率向上の取り組み

*叶谷 信治雄1 (1.国立病院機構西新潟中央病院)

Face Recognition, Improve recognition rate, Recognition environment

AI顔認証システムを導入し1年運用しているが、マスク着用時の認識率は63.1%(n=252)、マスク着用無しでも70.0%(n=110)程度である。
また、過去に他人として認識されたことのあるユーザは29.8%(マスク着用時)もおり、週1回以上誤認されるユーザに絞っても19.8%のユーザが誤認されてしまうため、
個人識別をして使うには厳しい状況である。
認識率を向上させるために下記の2点について取り組んでみた。
・撮影環境の改善
AIカメラ設置箇所は薄暗く撮影環境としては適していない。AIカメラにライトを設置し環境改善を図る
・個人識別用画像の入れ替え
これまで、一眼レフを使って撮影した画像をAIカメラに登録していたが、認識が良くない人を対象に、AIカメラが正しく本人を認識出来た画像に差し替える。

差し替え手順は下記の通りである。
1.一眼レフでマスク無し写真を撮影し、AIカメラにセットする
2.AIカメラの前に本人に立って貰い、マスクを外して認識をしてもらう。
3.認識出来た場合は、マスクをして認識をしてもらう。認識出来ない場合は、1に戻る。
4.AIカメラが認識した画像を取りだし、認識用画像としてセットする。
5.AIカメラの前に本人に立って貰い、マスクを外して認識
6.マスク無し、マスク有り画像両方の認識出来る画像が取得できるまで繰り返す。


撮影環境改善については、認識しにくい方(本人特定が中々されない状態)が認識しやすくなり本人特定が早くなる効果が確認できた。
識別用画像の入れ替えについては、著しい効果があり、認識出来なかった方が認識される様になった。

これら2点の対応は認識率向上に大きく寄与出来る事が明らかになったが、経時とともに認識が悪くなってくる方が見受けられ、
再度撮影画像を取り直すことで改善する事が確認できた。
結論として、顔認証は定期的に認識用画像を更新していく必要があることが認められた。