一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-3-02] 院外からのカルテ参照(リモートカルテ)試験的運用に関する調査

*井 稔1、吉田 陽一郎1、小川 伸一郎1 (1.福岡大学病院(医療情報部))

Remote medical record, Access log, COVID-19

【はじめに】
新型コロナウイルス(COVID-19)により、院外からもカルテ記録を参照できる機能を求める声が挙がっている。また、医師の少ない診療科では当直人員の確保が難しく、オンコール体制となっているケースもあり、カルテを自宅から参照できる機能が求められている。これらの背景を踏まえ、当院では医師の利便性向上を目的として2021年2月より院外からのカルテ参照(リモートカルテ)の試験的運用を開始した。そこで、利用状況の結果および考察を含めて報告する。
【方法】
リモートカルテのアクセス権限は、1診療科につき最大3名までの医師に限定した。外来予約一覧、各種レポートやサマリ等の電子カルテの一部は参照できない設定であった。1年間のアクセスログ(2021年4月~2022年3月)を解析し、利用者、利用回数、利用時間などを算出した。
【結果】
対象となる医師は59名で、月別利用者数は平均12名(最大14名・最小10名)であった。月別利用回数は平均138回(最大178回・最小105回)で、年間利用回数は1661回であった。利用回数は経時的に減少傾向を示していた。年間1661回のうち勤務時間内の利用は890回で、利用者間で大きな差が認められた。利用時間は1回あたり平均17分で、一度も使用していない医師は36名であった。
【結語】
リモートカルテの利用者は約20%で、一度も使用していない医師が約60%であった。院内の電子カルテと同じ内容が参照できるように利用者は望んでおり、それらの改善が利用向上に繋がる可能性が考えられた。