Japan Association for Medical Informatics

[2-P-3-03] 客観的方法による労働時間を把握するシステムの開発

*Shinichiro Ogawa1, Hideo Shimura1, Minoru I1, Chiho Nakahara1, Yoichiro Yoshida1 (1.福岡大学病院)

access log, work style reform, system development

【背景と目的】医師の働き方改革において、勤務実態の把握が必要とされる。これまで当院では電子カルテのアクセスログを用いて稼働状況を可視化してきたが、労働でない時間(自己研鑽、外勤等)の把握をすることが課題であった。この課題解決に向けて勤務実態の可視化、監査等の証跡として用いることのできるシステムの開発を行った。

【方法】以下の開発を行い、電子カルテより起動できる仕組みとした。
①電子カルテへのログインの際に診療、自己研鑽を申告するシステムを開発
②電子カルテのアクセスログと①のデータを紐付けて勤務時間の自動集計及び、可視化
③勤務管理簿システム(残業申請、出勤/外勤/当直/年休等を申請)を開発

【結果】①、②より診療、自己研鑽ごとの稼働時間を可視化することができた。72.7%の医師が一度は自己研鑽を選択してログインしており、自己研鑽の平均稼働時間は2時間18分であった。病院全体では平均9,449時間/年が労働でない時間であると把握することができた。
③については、これまで紙運用にて申請していたが電子化されたことにより自動集計が可能となった。

【考察】①、②より診療、自己研鑽を自己申告することで診療時間の削減に貢献できたと考えられる。アクセスログより証跡データを自動集計することで勤務実態の可視化、人員削減にも寄与できた。
③より残業時間や出勤状況等のデータを容易に集計することが可能となった。
今後は②、③のデータを紐付けて医師間の業務平準化を示すデータを可視化できると労働時間の削減に寄与できると考える。

【結語】電子カルテのアクセスログや入力データを利用し、自動的に証跡データを集計、可視化することが可能となり勤務実態を把握することができた。アプリケーション開発を内製化し、電子カルテと連携することで効率化、コスト抑制でき、今後のタスク・シフト/シェアの推進につながると考えられる。