一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-4-03] セマンティックセグメンテーション手法を用いたX線画像からの椎骨検出

*森川 大翔1、吉野 孝1、寺口 真年2 (1.和歌山大学、2.和歌山県立医科大学 整形外科)

Radiographs, CNN, U-Net, Semantic Segmentation, Object Detection

1.背景と目的
医療機器の導入は多額の資金調達が必要となることから,町の診療所の規模ではCT,MRI装置は未設置な場合が多く,肺や心臓,骨の疾患の診断の際は単純X線撮影での検査がほとんどである.脊椎疾患領域の画像診断は専門性も高く,信頼に足る画像診断ができるようになるには多くの時間と経験が必要とされるため,AIの画像診断分野での活用が期待されている.そこで本研究では,CNNを用いた異なる撮像範囲のX線画像に対応したセマンティックセグメンテーションによる椎骨の検出手法を提案する.
2.方法
本研究で使用する画像は病院で撮影された100枚の単純X線画像であり,胸腰椎を撮影した側面像である.全画像のうち,10枚をテスト用データ,残った90枚のうち20%を検証用データ,80%を学習用データとして使用する.元データはDICOM形式で保存されているため,前処理として階調処理を行った後にjpeg形式に変換する.その後,画像アノテーションツールLabelMeを用いてアノテーションを行い正解データであるマスク画像を作成する.用意したマスク画像と元のX線画像のペアを学習データとし,セマンティックセグメンテーションを行う.今回は学習モデルとしてU-Netを採用した.活性化関数はシグモイド関数,損失関数は二値交差エントロピー,また評価関数として正解率,損失率,適合率,再現率,mIoU(mean Intersection over Union)を採用した.
3.結果
認識精度として,正解率97%,損失率23%,適合率80%,再現率78%,mIoU67%となった.また予測画像として,椎骨1つ1つを目視で確認可能なマスク画像を出力できた.
4.おわりに
本概要では,撮像範囲の異なるX線画像を用いて椎骨のセマンティックセグメンテーションを行う手法について述べた.最終原稿では,より高い精度を得るための学習手法について報告する.