Japan Association for Medical Informatics

[2-P-4-05] 個人の状態の客観的・標準的な記載方法に関する研究

*Kayo Watanabe1, Nao Kashimura1, Mihoko Okada2 (1.川崎医療福祉大学 医療情報学科, 2.一般社団法人 医療データ活用基盤整備機構)

ICD-11, ICF, ICHI, ICF Core Sets

【目的】包括ケア、地域医療連携、医療保健福祉等においては、個人の健康状態や活動状況、社会への参加状況、個人をとりまく環境等を記載し、医療者、介護者が共有でき、また本人が自身の状態を客観的に把握し得ることが望まれるが、個人の生活状態をどのように記載できるか、その標準的な形式、記述はどうあるべきかについての議論は、まだ限られている。そこで、世界共通のWHO-FIC国際分類ファミリーの中心分類を用いて記載する方法について検討した。【方法】個人を記述するフレームワークとして、活動状態図とICF統合モデルによる包括的記述モデルを作成した。記述の対象は、実際の①低栄養の可能性(既往歴:高血圧、糖尿病)のあるケース、②糖尿病(通院中)のケースとした。WHO-FICの中心分類である国際疾病分類(ICD-11)、国際生活機能分類(ICF)、保健・医療関連行為に関する国際分類(ICHI)を用いてコーディングを行うこととし、ICFについては構成要素である健康状態(a)、心身機能と身体構造(b)、活動(c)、参加(d)、環境因子(e)について記述することとした。【結果】①、②のケースについて包括的記述モデルで記述した。ICFの構成要素それぞれに該当する項目は、①は18項目(内訳:(a)5、(b)5、(c)4、(d)1、(e)3)、②は16項目(内訳:(a)7、(b)2、(c)2、(d)2、(e)3)であった。【考察および結論】活動状態図によって社会との関わりが可視化され、ICF統合モデルにより、疾病に関する情報とそれに付随する医療行為や心身機能と身体構造、日常生活の活動状況や社会との関わり、個人をとりまく環境等の詳細が記述できた。個人の生活状態を記述する形式として、「包括的記述モデル」が活用可能であると考える。今後、対象を広げて標準的形式としての検討を進める予定である。