一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-5-03] 入院患者向け無料Wi-Fiのサービス展開の取り組み

*菊地 徹矢1、中村 直毅1、田山 智幸2、加藤 文樹2、寺澤 篤史3、井上 隆輔1、藤井 進1、大田 英揮1、張替 秀郎1 (1.東北大学病院メディカルITセンター、2.東北大学病院医事課医療情報運用管理係、3.東北大学病院医事課)

Wi-Fi, Network, Patient service, Covid-19

東北大学病院では、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴って、面会を全面的に禁止している。面会禁止による入院患者の孤独化を軽減することを目的に入院患者向けの無料のWi-Fiサービスを提供することにした。本サービスを提供するにあたり、ユーザ認証、アクセス回線の確保、経済性、セキュリティ、運用に配慮して準備を進めた。

患者単位でユーザ認証するため、富士通社製電子カルテと認証サーバ(LDAP)が連携する仕組みを構築し、認証画面でサービスの利用規定の同意、患者IDおよびパスワード入力を経てから利用できるようにした。また、高速なアクセス回線を安価に確保するため、IPoE接続の商用プロバイダを2回線新設し、患者の通信が負荷分散できるよう構成とした。経済性を考慮し、院内の既存インフラの活用を原則とし、現行無線アクセスポイントに相乗りして構成した。無線の周波数帯は、診療用で5GHz帯が利用済であったため、2.4GHz帯のみを提供した。加えて、患者Wi-Fiの通信が増大した際のPoEスイッチのアップリンクの帯域の圧迫を回避するため、PoEスイッチのアップリンクの増速を行った。さらに診療用と患者用の通信を論理的に分離し、患者同士の端末間の通信も相互通信できないように構成し、セキュリティにも十分配慮して実現した。運用開始前には、ホームページでの周知、病棟エリアやエレベータへのポスター掲示、病院執行部、科長‧医局長会議、師長会での周知を行って進めた。

令和4年4月より運用を開始してから、一日あたり200~300人の入院患者が利用し、通信帯域の不足や大きな障害の発生はなく安定して運用できている。ただし、ポケットWi-Fiやスマートフォンのテザリング機能による電波干渉が確認され、都度現地対応をしている状況であり、根本な対策については現在検討中である。

本発表では、これらの取り組みの詳細について報告する。