一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-6-01] APPMによるダイナミック・コンセントを採用した国際標準化 IoTデータ流通基盤と妊娠糖尿病向けアプリ開発

*米山 暁夫1、藤原 正弘1、水口 恵美子1、目黒 巧巳1、大村 卓士2、中山 志麻2、高井 泰2、泉田 欣彦2 (1.KDDI総合研究所、2.埼玉医科大学)

Gestational Diabetes, EHR&PHR, Dynamic Consent

個人情報保護法の施行以降、パーソナルデータは個人のものとの認識は定着してきているが、利用者自身がデータを適切に活用することは難しい。これまでにも診療データやPHR活用の試みも数多く行われてきているが、社会に根付いているとは言い難い。
 本研究では、以下の2点が大きな課題と考えている。①個人にとって、自身のデータが誰にどのように使われるか不安で積極的にデータを使いたくない、また使いたいと思うサービスやアプリがない。②医療機関にとって、個人情報取扱事故のリスクを考えると、利活用より厳重な管理を優先したい、またデータ利活用が医療機関自身に何らかの利益還流見込みがないとリスクを取って利活用するインセンティブが持てない。
 これらの課題に対し、以下の仮説・目的に基づき実証研究を開始した。①医療機関が診療データをQRコードに印字して利用者に渡し、利用者自身がスマホアプリでQRコードを読取り、診療データをアプリで照会する。また利用者が許諾する医療機関でも照会できるシステムを構築し、医療連携を可能とする。②アプリにダイナミック・コンセントを導入し、利用者自身の考えに沿ったデータ利用目的を選択(データ提供に同意)できるようにし、データ2次利用を促進させる。③診療データの受渡しに使うQRコードやデータ2次利用におけるインタフェースにSmartHealthCards、oneM2M、HL7 FHIR等の国際標準化規格を採用し、特定のベンダーに依存しない参入障壁の低いシステム構築で早期の普及を目指す。
 本実証研究では上記特徴を具備したアプリを利用して臨床研究を行う。実証対象者は妊娠糖尿病としており、アプリ利用者のITリテラシーに著しいばらつきがない、アプリ利用による効果が期待しやすい、埼玉県川越市近隣の大規模産科医院3院と埼玉医科大学総合医療センターが参加することで実験参加者を確保しやすい、といった特徴がある。