一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-6-02] Mixed Reality技術を活用したフィジカルアセスメント能力向上のための教材開発と評価

*松本 智晴1、辻田 賢一2、坂上 拓郎3、平井 俊範4、近藤 英治5、中村 公俊6、田代 浩徳1、前田 ひとみ1 (1.熊本大学大学院生命科学研究部看護学分野、2.熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学講座、3.熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器内科学講座、4.熊本大学大学院生命科学研究部放射線診断学講座、5.熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学講座、6.熊本大学大学院生命科学研究部小児科学講座)

Physical assessment skills, Nursing student, Mixed Reality

【目的】本研究の目的は、Mixed Reality(MR)技術を活用したフィジカルアセスメント能力向上のための教材開発と評価である。【方法】開発する教材は成人と小児、出生直後と1カ月の新生児、4カ月の乳児のアセスメントとした。成人と小児の教材開発目標は、人体構造を確認しながら聴診技術を修得できること、疾患特有の心音や呼吸音を検査画像と照合しながら学ぶことができることとした。新生児と乳児の教材は、正常な発達を学ぶことを目標とした。ヘッドマウントディスプレイは、Hololens2(Microsoft, 米国)を使用した。教材に必要な心音と呼吸音のデータは、教材の発達段階に応じた健常人および心疾患・呼吸器疾患の成人患者から収集し、患者の検査画像は病院情報システムより抽出した。制作では、各教材に応じたCGを作成し、成人と小児は心臓の拍動および呼吸に合った胸郭の動きをつけるとともに、心音と呼吸音を聴取できるようにした。出生直後と1カ月の新生児、4カ月の乳児のCGは、発育に応じた身体の特徴と動き、心音と呼吸音を聴取できるようにした。評価は、看護大学4年生21名に教材を体験してもらい、無記名自記式質問紙にて聴診技術など学ぶことができたかについて1.全くそう思わない~5.大いにそう思うの5段階で評価を得た。本研究は、所属大学の倫理委員会の承認を得て実施した(倫理第2303号)。【結果】学生の評価は、4.0~5.0(中央値)であった。理由は、肺と心臓の位置を考えて学ぶことができる、正常と異常を聴き比べることができるなどであった。【考察】Virtual Reality(VR)技術を活用した教材が多く開発されているが、実践を伴わないため技術の習得に限界がある。本教材は、人体構造を目視しながら聴診を行うなど技術を実践しながら学ぶことができることが学生の学習ニーズと合致し、高い評価が得られたと考える。