Japan Association for Medical Informatics

[3-A-1-01] “臨中ネット”の出口戦略 ~ エコシステムの整備へ

*Naoki Nakashima1 (1. Kyushu University)

2018年度に開始されたAMED・医療技術実用化総合促進事業による「Real World Evidence創出のための取組み」(通称 “臨中ネット”)の、AMED 事業の枠組みとしての活動は 2024 年度末までの予定であり、残り2年半となった。その間に臨床研究中核病院数も12病院から14病院へと増加し、同時に新型コロナ禍も経験した。 臨中ネットでは、その Vision を「クリニカルクエスチョンをはじめとする広範な課題に Real World Evidence として回答できる持続可能な臨床研究基盤の構築を通じ最適な医療の実現に貢献する。」と定め、以下の 4 つの Mission を進めている。
1.高い品質を確保するデータ管理
2.将来的な拡大を見据えたシステム設計
3.基盤を維持する自立的なエコシステムの検討・整備
4.これらを支える人材育成の実施
 つまり、目指しているのは上記の Vision 実現のためのシス テム/人材育成の社会基盤構築である。
 なお上記2の「将来的な拡大」は、活用データ源/種の拡大と、参加施設(基盤活用または基盤参加)の拡大の2つの意味を持つ。また開発する手法が、日本全体における同様のデ ータ駆動型臨床研究活動の推進に貢献することを期待する。 さらに本基盤は、医学やレギュラトリーサイエンス、産業興進への貢献のみならず、事業開始後に生じたCOVID-19パンデミックのような有事における迅速なデータ活用にも貢献しなければならないであろう。つまり14病院が協調し、データ活用の上では計 1万病床を超す「バーチャルメガホスピタル」的な役割を果たすことが求められる。
 一方で、上記3に示されるように、この基盤をAMED事業終了後にも維持運営するためのエコシステムが必要であり、
・ 診療報酬化(施設加算など)
・ 基盤活用者からの支払い
・ 施設協力費
・ その他
が想定される。具体的なエコシステムの検討・整備を開始 する時期に来ており、今後は、特にこのエコシステムの構築に資するためのデータ活用成果を示すことが重要である。