Japan Association for Medical Informatics

[3-A-1-03] 医薬品開発等へのリアルワールドデータ利活用への期待

*Yumiko Nomura1 (1. Reserch and Development Division, Health Policy Bureau, Ministry of Heath, Labour and Welfare)

厚生労働省医政局研究開発政策課では、医薬品、医療機器、再生医療等製品等の実用化支援に向けた各種事業を担っているが、医薬品等の開発において、期間と費用の大部分を占める臨床試験段階を効率化することは、開発を迅速化し、いち早く有効な医薬品等を患者さんの元に届けるために重要である。
 臨床試験の効率化について様々な方策が検討されてきたが、現在、期待と注目を集めているのがリアルワールドデータ(RWD)の利活用である。米国では、2016年にReal World Evidenceの利活用推進を定めたThe 21th Century Cures Actが発効し、2021年には医薬品の有効性評価にあたって、臨床試験における電子的健康記録(EHR)や医療報酬データの使用に際しての留意点をまとめたGuidanceが発出されるなど取り組みが進んでおり、RWDを活用した医薬品の適応追加事例なども出始めている。
 一方、日本におけるRWDの利活用にあたっては、電子カルテの仕様や、検査や医薬品等の情報に対して割り振られるコードが病院ごとに異なっているなど、複数の医療機関のデータを統合して解析を行うに際して種々の課題があることが明らかになっている。
 臨床研究中核病院は、日本の治験や臨床研究をリードする医療機関として医療法に位置づけられており、臨床試験の実施をサポートするAROの体制が充実している。さらに、多くの臨床研究中核病院において、医療情報に関しても日本をリードする取り組みが進められていることから、臨中ネットの取り組みにおいては、これら臨床研究中核病院の医療情報部門とARO部門の協力により、いわゆるデータ駆動型臨床研究を実施するための各種課題解決への取り組みを進めてきた。
 将来的には、これらの取り組みに基づく成果が臨床研究中核病院を超えて広く活用されることで日本のRWD利活用の進展に資することが期待される。