Japan Association for Medical Informatics

[3-A-3-01] ビッグデータ・AIによる医療の第3次革命(情報・知能医学革命)

*Hiroshi Tanaka1 (1. Tokyo Medical and Dental University)

Medical Big Data, AI, Data-driven Medical Science and Practice

医学・医療の分野も、網羅的分子情報の進歩、モバイル・ヘルスの発展、real world dataの波及などいまや「ビッグデータ医療時代」に突入し、大量の大規模データに囲まれて、今後数十年続く「第3次革命」(第1革命:抗生物質による細菌性感染症の激減、第2革命:分子生命科学による分子医学)を起こしつつある。 従来の医学は、社会の要請や関心のもとに、未知の機序に対して仮説を形成し、実験によって検証する、「仮説駆動型」医科学であった。得られた知識は穴だらけで全体性が欠如している。これからの医学研究は、「データ駆動型」医科学で、全体被覆性のある網羅的データから、人工知能の「教師なし学習」によって知識を自動発見するリバース・サイエンスである。 またデータ駆動型医療においては、 (1)Deepな生命情報の活用の普及:今後も網羅的分子技術は発展し、臨床医学に「深い知識」を齎し、精密医療(PM:precision medicine)を実現する。 (2)PMモバイル・ヘルス:モバイルヘルスは大きく発展し、医療実践の主流方式となり、また「深い知識」も取り込み、PMモバイルヘルスとして席巻する (3)PM real world data:通常の電子カルテを集積した「浅い」DBではなく、ゲノム電子カルテ、精密がん治療電子カルテ使用下での「深い知識」を集積したPM real world dataがLHSの知識基盤となる。 (4) 精密医療の大衆化を支える国家的な情報知能システム:大学病院や高度医療センターで精密医療が実践されても未来医療のインパクトはない。一般の診療所医師がゲノム電子カルテ、精密がん治療電子カルテを使用する環境の中で、最先端の知識を提供され、意思決定を支援される。これを行う大規模な情報知能システムが未来医療を基盤として支える。 PMとモバイルヘルス・real world dataの融合が未来の医学、データ駆動型医療を広く可能にする基軸となろう。