Japan Association for Medical Informatics

[3-B-1-01] 現場から見た医療・介護情報共有の課題 ~札幌市・訪問看護/介護の視点から~

*Yousuke Masuda1 (1. Sapporo Higashi Tokushukai Home Visit Nursing Service)

【はじめに】
健康・医療・介護分野ではICT活用が推進され、パーソナル・ヘルス・レコードの整備や遠隔医療などICTの活用によって情報連携・情報提供の迅速化・効率化・質の向上や膨大な情報の蓄積・分析手法の高度化がもたらされている。しかし、システムの構築・普及・定着には地域特性や費用面など多くの課題もある。

【在宅医療・介護現場における情報連携・情報提供のためのICT活用】
在宅医療や介護現場でもICTの活用が進んでおり、現在では多くの事業所がタブレット端末やノートパソコンを使用し、訪問先での情報閲覧や記録入力が可能となっている。当法人では訪問看護ステーションの関連病院と同一のカルテシステムを使用しており、情報共有の迅速化・効率化を図っている。また、当事業所が設置されている札幌市東区のケア連絡協議会では情報連携ソフトとして「バイタルリンク®」(帝人ファーマ社)の使用が推奨されており、病院-診療所および診療所が連携する介護関連事業所との情報共有システムが整備されている。ただし、このシステムを利用するのは比較的大きな病院・診療所と関連事業所が連携した場合であり、小規模事業所間では活用されていないのが実情である。

【在宅医療・介護現場におけるICT活用の課題】
介護分野の生産性向上に向けたICTの更なる活用に関する調査研究1)では介護ソフトの使用している機能をみると、介護報酬関係や「サービス利用票(提供票)の作成、変更」、「利用者に対する記録の作成、変更」などが多く、他法人との情報共有や作業効率化(作業連携等)に関する機能の使用は少ないとされている。札幌市のような大都市圏では多くの事業所との連携が必要であるが、ネットワーク環境にばらつきがみられるため同一のシステムに統一することは容易なことではない。地域医療においてはFAXや郵送といった情報連携・情報提供がいまだに主流であり、ICT活用を促進させる上での課題でもある。