Japan Association for Medical Informatics

[3-B-1-03] 北海道における情報共有システムの実践例① ~名寄市・自治体職員/情報管理者の視点から~

*Kiyoshi Moriya1 (1. Information Management Center of Nayoro City General Hospital and Nayoro City Health And Welfare Department)

令和3年度から正式運用を開始した名寄市医療介護連携ICTについて報告する。名寄市には道北北部医療圏で唯一の救命救急センターである名寄市立総合病院がある。平成25年から道北北部地域の救急医療支援のため各二次医療圏の中核病院との間で医療情報を共有する仕組みを構築し、主として救急トリアージ、症例コンサルト、病診連携の用途で運用している。令和2年度からは、この医療連携ネットワークを拡張して名寄市内の介護施設、調剤薬局、歯科医院、市(地域包括支援センター、介護保険係、障がい相談支援係、保健センター)を繋ぎ医療介護連携に取り組んでいる。本取り組みの特長の第一は、事務局を市直轄運営の包括支援センターに置き、名寄市の地域包括ケアシステムを支えるICTインフラを目的としたこと、第二に、急性期病院である名寄市立総合病院と地域のICT連携を重視したことである。名寄市はかかりつけ医や在宅医療のリソースが不足しているため、市民からは市立病院がかかりつけ病院の役割を期待されているのが実情である。運用開始から1年が経過したが、市内全介護施設、主要な診療所、調剤薬局、訪問を行っている歯科医院が参加して、同意利用者数も1,030名(介護認定者1,700人)となっている。
ケアマネジャー、地域包括支援センター職員に対するアンケート調査では、従前と比較して業務の質が向上しているとの回答が全体の57%、「変わらないが可能性は感じる」の回答を加えると全体の83%であった。また「ICTとの併用で電話の使い方が効率化した」との回答も70%あった。一方市立病院側もICT運用開始後、医療介護の連携効果でMSWが介入した介護認定患者の自宅退院率が15ポイント上昇し、在院日数短縮に影響のある平均退院調整日数も8日間短縮できた。  
本シンポジウムでは事務局(市)の立場からの運用開始までのプロセスについて紹介する。