Japan Association for Medical Informatics

[3-B-1-04] 北海道における情報共有システムの実践例② ~函館市・医師/医療施設長の視点から~

*Hajime Takahashi1 (1. The chairperson of Social Medical Corporation Takahashi Hospital)

当法人は北海道函館市に拠点とし、平成19年全国に先駆けて地域医療連携ネットワークシステム“ID-Link”の運用を開始した。いまや全国で一番使われているプラットフォームとなっているが、振り返ると「院外からの情報を上手に使いこなす時代」、「地域を超えて患者情報が把握可能な時代」とも言えたのではないだろうか。
しかし、「医療機関の網羅率」「診療記録か補完記録かの責任分界点」「システム自体の継続性」「介護系の参加率」など解決すべき課題も多く見えてきた。
本年6月7日、政府は「経済財政運営と改革の基本方針2022」すなわち「骨太の方針」を発表したが、社会保障の項では、代表的なものとして「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化」等が謳われた。
前者の注釈に、「オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフォームをいう。」とあるが、今後デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要な位置を占めていくものと思われる。マイナンバーカードを活用した情報共有の新たなプラットフォームが提唱され、そこにはマイナポータルに代表されるPHR(Personal Health Record)という国民目線の仕組みが導入されている。
「情報」とは、「情けをかけると報われる」「情けをかけないと報いがくる」ことと常々考えてきた。自分への利点だけはなく、絶えず相手のことも考えて情報をやり取りする「双方向」の姿勢が大切である。今後ますます診療情報、介護情報、生活支援情報など多岐にわたるデータが「地域連携」の名のもとに集まってくる中で、どのようなプラットフォームを使えば地域の健康度を高めるか「情報」の観点から論じてみたい。