一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-2-03] 臨床研究中核病院における処方オーダの用法に関する現状調査と標準化への課題

*吉田 直樹1、坂井 亜紀子2、朝田 委津子3、山下 暁士3、真鍋 史朗4、松村 泰志4,5、武田 理宏2,4 (1. 大阪大学医学部附属病院 薬剤部、2. 大阪大学医学部附属病院 医療情報部、3. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター、4. 大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学 医療情報学、5. 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)

Drug usage, Standardization, Rinchu-net, Clinical research core hospitals, Real-world data

【背景と目的】臨床研究中核病院が参画するAMED事業である「Real World Evidence創出のための取組み(通称:臨中ネット)」で医療データの標準化を担当するサブワーキング3(SWG3)では処方オーダにおける用法の標準化に取り組んでいる。 臨中ネットでは用法の標準コードとして厚生労働省標準規格である処方・注射オーダ標準用法規格(以下、JAMI標準用法規格)を採用した。しかし、2020年の調査でこのコードを採用していたのは12施設中3施設だけであった。このため各施設から出力される用法データが異なると予想され、現状把握のためにアンケート調査を行った。 【方法】アンケートは2022年6月時点の全参加施設である14施設に対して28種類の模擬処方を提示し、これと同等の処方データを収集した。 【結果】施設間での違いは、用法をマスタ管理しており用法がコード化されている場合と、テキストとして管理しており用法がコード化されていない場合があった。また、用法をマスタ管理している施設の中でも、毎週月曜日などのスケジュール用法はコード化されておらず、テキストとして出力される場合があり、施設によってコード化されている用法に差異があった。さらに用法はコード化されているが、データを出力するシステムによっては施設独自コードが含まれない場合もあった。 【考察と展望】臨中ネットでは用法を変換テーブルにより施設独自コードからJAMI標準用法規格への変換を行う。しかし、用法のコード化率は施設によって異なるため、臨中ネット全体で用法の標準化粒度を合わせるには、各施設に合わせた用法変換テーブルの作成方法を検討する必要があり課題となっている。将来的には臨床研究以外でも多施設で連携した医療データの収集が重要になっており、今回の報告する用法標準化の検討は各施設における医療データの2次利用に向けた整備活動の参考となるだろう。