一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-2-04] 臨中ネットにおけるReal World Dataの品質管理に関する取り組み

*大江 和彦1,2、永島 里美1、山下 暁士3、竹村 亮4 (1. 東京大学医学部附属病院 企画情報運営部、2. 東京大学大学院医学系研究科 医療情報学分野、3. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター、4. 慶應義塾大学病院 臨床研究推進センター)

Electronic Medical Record, RWD, RWE, Database, Data Quality Assessment

Real World Data (RWD)の利活用への期待は大きい。RWDを解析して得られた科学的根拠は、Real World Evidence (RWE)と呼ばれるが、RWEが妥当であることを保証するためには、RWDが現実の状況を正確に反映したデータであることが必要となる。しかしながら、これを示す系統的な方法はこれまでに示されていない。
臨中ネットでは、多施設の医療情報を統合して解析することを念頭に置いており、データを共有する際の品質の定義や、それを全体としてコントロールする必要がある。
臨中ネットサブワーキンググループ4(SWG4)では、臨床研究で使用するRWDの品質管理について、検討を進めており、まずは臨中ネットにおける品質管理の基本的な考え方や指標を整理することが重要と考えた。また、汎用的データリソースとしてSS-MIX2標準化ストレージのデータバリデーションを複数施設にて実施し、各施設の状況と課題について検討した。さらに、2つのデータリソースからのFHIR準拠オブジェクト同士の意味的検証システムを開発し、結果を検証することで、品質管理の課題や指標について議論を進めている。SWG4ではこれらのサブテーマを3つのタスクフォース(TF)に分けて、SS-MIX2のデータバリデーションをTF1で名古屋大学の山下暁士先生、FHIR準拠オブジェクト同士の意味的検証をTF2で本演者、基本的な考え方や指標やモデル化をTF3で慶應義塾大学の竹村亮先生がそれぞれ担当している。
RWDの品質を評価・議論する場合には、使用するデータの範囲や目的、特性を考慮して議論する必要があると考えるが、本発表では、臨中ネットにおける研究用の二次利用データリソースの品質を考えるうえで考慮すべき指標や課題について、これまでの検討内容を報告する。