[3-B-2-06] 臨中ネットにおける研究計画書の共通化を通じた臨床研究サイクル加速への試み
Ethical Guidelines, Real World Data, Template
臨中ネットでは、各機関において蓄積された既存の診療情報の中から、研究者からの提案に応じて必要なデータを出力し、解析実施機関に集めて研究を実施するための体制整備を行っている。整備したデータ基盤の運用方針を検討することは、データ基盤整備と並んで重要である。サブワーキンググループ6においては、臨床研究の実施サイクルを加速する活動の一環として、研究計画書の共通テンプレートを作成した。臨中ネットに参加する臨床研究中核病院における既存の診療情報を用いる観察研究を想定した場合、研究体制、データ出力方法、個人情報保護を中心とした研究倫理、そして情報公開に関して、多くの部分で共通化できると考えた。2021年3月に改訂された、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(以下、医学系指針)において「一研究一審査の原則」が明記されたことを受け、中央一括審査を前提としたテンプレート作成を行った。作成に当たっては、臨中ネット参加機関の研究倫理を担当するセクションを中心に人材を集め、プロジェクトチームを組織し、医学系指針における必須記載事項をもれなく記載すると同時に、記入例とともに解説を余白に記載することで研究者にわかりやすく、教育的なものになるよう配慮した。最終的に作成したテンプレートを各施設の倫理委員会の代表者や委員会に諮り、(1)機関内で使用可能か、(2)テンプレートに基づく研究計画書を他機関で一括審査した場合に、審議結果を受けて研究を実施することが可能か、について調査した。その結果、テンプレートは多くの機関において利用可能であることが示された一方で、他機関からの審査内容を受け入れて研究を行うための運用方法は機関ごとに異なることがわかった。今後、臨中ネットの基盤を活用した研究に本テンプレートを活用する際に生じうる問題を挙げ、その解決策について議論する。