Japan Association for Medical Informatics

[3-B-3-01] 医療情報技師育成部会の「これまで」と「これから」
~GIO・SBOsの側面から~

*Tetsuya Narikiyo1 (1. Hiroshima International University)

オーダリングシステムが大病院から開発・導入された1980年代に、医療機関(従事者)とベンダー等関連産業(SE)の橋渡しができる人材を求める多くの声があった。そこで、日本医療情報学会は、その声に応えるべく医療情報技師育成部会を新たに設置した。必要とされる人材像を定めて医療情報技師認定制度を整備し、認定試験の実施を今日まで実施してきた。
 現在では、医療情報技師並びに上級医療情報技師の育成目標としての「一般目標(GIO)」と、この目標達成のためにどのようなことを学び、実践できるかを示した「到達目標(SBO)」を提示している。このGIO・SBOsは、教科書「医療情報(医学・医療編、情報処理技術編、医療情報システム編)」の改版の編纂の際に参照され、試験問題・研修等に反映させている。    
 しかし、医療情報は学際的であり、非常に多岐な分野にわたるのが実情である。そのため、網羅的に含めてしまうと実践的でなく飾り物になってしまう恐れがある。そこで、技師という実践家に求められる観点から泣く泣くふるいにかけ外す作業も同時に進めることとなる。
 最新の医療情報技師のGIO・SBOsは、2022年3月に学会のホームページにアップしている。今回の改定では、データの利活用に重点を置いた。これは、これまでのシステム導入・維持管理・廃棄というシステムライフサイクルの業務、そしてセキュリティ対策等の保全活動と合わせ、さらには蓄積されるデータベースの利活用が経営・臨床側から期待されていることを反映させたものである。
 また、上級医療情報技師は、医療情報技師としての知識と経験を活かし、全体最適の観点から保健医療福祉の情報化と情報の利活用を推進できる能力を求めている。そのなかでは、医療情報技師に求められる3Cの資質に加え、リーダーシップとマネジメント力を発揮し、医療現場の課題を論理的な思考に基づいて実践的な能力を必要としている。
 GIO・SBOsに完成形は無く、常に時代と共に変えていく必要がある。