[3-C-1-01] 異種無線システムの共存環境における無線通信安定化の取り組みについて
近年、医療現場では、患者の自由を確保しつつ容態を常時モニタするなどのニーズにより無線通信の利活用が進んでいるが、一方でデータが届かなかったり遅れたりといった問題点が顕在化されつつある。これと同様に、製造現場においても、部品搬送の自動化や工具の使用情報の収集によって生産効率を向上するために無線通信の利活用が進んでいるが、一方でデータの遅延やエラー等により通信品質が不安定になり、結果として却って生産効率が悪化してしまう問題が発生している。これらの問題の要因の一つは、同一周波数帯を利用した異なる無線システムの共存によって発生する干渉などである。この問題に対し、著者らは異種無線システムの共存環境において、複数の無線システム間のリソース調整を実施するグローバル制御と単一の無線システム内の通信制御を実施するローカル制御を協調連携することで無線通信を安定化させるSmart Resource Flow (SRF)無線プラットフォームを研究開発してきた。また、SRF無線プラットフォームの社会展開のため、Flexible Factory Partner Alliance (FFPA)における標準仕様の策定および妥当性検証と、SRFに対応していない無線機器に対してSRF無線プラットフォームの制御を適用可能にするコンバータの開発を推進してきた。さらには、ローカル5Gなどの最新の無線通信方式を今後SRF無線プラットフォームに取り込んでいくことを目的として、制御の可能性と影響を評価する実験を進めている。本発表では、これらの製造現場向けの活動成果を一事例として報告し、今後の研究開発の展望を述べる。