一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-1-02] 製造現場での無線計測とトラブル事例

*雨海 明博1 (1. サンリツオートメイション株式会社)

近年の製造現場では、スマートフォンやタブレットのような情報端末が増えているのはもちろん、在庫管理では無線ハンディターミナルが多用され、組み立てラインでは無線で締め付け確認ができる締め付け工具が大量に導入されている。さらに、自動搬送機も増加してきており、それらは当然無線で制御されている。このように、製造現場全体で無線の利活用が急速に進んでいるが、同時に、通信トラブルも起きている。そこには、一般のオフィスとは異なる製造現場ならではの課題が存在する。 無線通信は、環境中を伝搬する電波を用いた通信であるため、環境の影響を大きく受ける。特に、製造現場には金属で出来た物が非常に多い。加工を行うための大型の機械はもちろん、製造物そのものが金属で出来ていることも多く、かつ、それらが製造ライン上を移動していく状況にある。金属は電波を反射する性質があるが、それら金属が時々刻々と位置を変えていくのが製造現場であり、無線通信の状況も大きく変化する。このため、一般のオフィスで行われるような一過性のサイトサーベイでは役に立たないことが多い。 では製造現場で通信トラブルが起きたときに、どのように対処をしていくのか。まず重要なのは、その現場で無線端末がどのように管理・運用されているかという点のヒアリングになる。無線の種類はもちろん、ラインの稼働時間等運用面の情報も非常に重要である。そのヒアリング結果を参考にして、まずはスペクトラムアナライザを用いた大域的なサイトサーベイを実施する。次にパケットキャプチャによって詳細な通信状況を確認し、原因の絞り込み行うという方法を取る。本発表では、それら計測作業の具体例を示しつつ、製造現場でどのような通信トラブルが生じているのかを紹介する。 また、無線通信トラブルの事例を集めた小冊子を作成しているので、その内容についても紹介を行う。