[3-C-2-01] 改正薬機法によるGS1バーコード表示の義務化と国内外の利用動向
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部を改正する法律(改正薬機法)により、トレーサビリティ向上を目的として医療用医薬品、医療機器等へのバーコード表示が義務化される。そのバーコードとしては、かねてから厚生労働省の通知により表示が推進されてきたGS1標準のバーコード(GS1バーコード)が利用されることが決定している。 一般的にバーコードというと、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで会計の際に読み取られている光景が思い浮かぶが、あのバーコード(いわゆるJANシンボル)もGS1バーコードの一種である。GS1バーコードには、GTIN(ジーティン)と呼ばれる国際標準の商品識別コードが含まれており、これにより商品を世界で唯一に特定できる。GS1バーコードは、今や商品の流通や販売管理に欠かせないものとなっている。 医療用医薬品や医療機器等に関しては、GTINだけでなく有効期限やロット番号などもバーコードに含まれ、販売包装のみならず医薬品の調剤包装、医療機器の個装や本体といった医療現場での管理単位にも表示されているなど一般消費財以上に先進的なバーコード表示が行われているといえる。これは、流通効率化にとどまらず、医療安全やトレーサビリティ向上に向けた活用が前提とされているためである。また、改正薬機法のもと昨年8月より施行された添付文書電子化においては、電子化された添付文書へのアクセス用符号としてもGS1バーコードが活用されつつある。 一方、トレーサビリティ目的でGS1バーコードを活用しているのは、一部の先進的な医療機関に限られているのが現状である。改正薬機法にトレーサビリティの向上が掲げられ、GS1バーコードの表示が進展する中、医療機関で期待されるその活用が広く実現されるには何が必要なのか。発表では、今後の活用に向けた考察も含めつつ、GS1バーコードに関する基本的な情報と国内外の利用動向について解説する。