一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-2-05] 医療機関における標準バーコード・RFID導入・活用手順書の作成

*美代 賢吾1 (1. 国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター)

改正薬機法により2022年12月に完全施行される識別符号の表示義務に合わせて、すでに多くの医薬品・医療機器で個装単位でのバーコード表示が行われている。医薬品のPTPシートにもバーコードが印字され、多くの医療機器の個包装にも印字されている状況である。これらのバーコードは個装単位で表示されていることから、製造や流通過程で使用するものではなく、医療機関内での使用を意図されているものである。多くの病院で課題となっている、院内物流の効率化、診療報酬算定の適正化、そして医療安全への活用が期待されている。これまで、バーコードやRFIDの活用は、先進的取り組みを行っている一部の医療機関が中心であったが、すでに技術的には成熟してきており、今後はより多くの医療機関で普及を進める段階に来ている。そこで、令和2・3年度厚労科研で、筆者らを中心に12名の有識者と、9つの関連団体の15名のオブザーバーによって、専門的知識のある人材がいない医療機関でも活用できるように「医療機関における標準バーコード・RFID導入・活用手順書」を作成した。この手順書では、GS1バーコード、RFIDの基礎的知識の提供から、7つの医療機関の8つのベストプラクティス、また海外での活用事例を収載することで、活用によって生じる効果についてイメージできるように構成した。そのうえで、導入の際に必要なバーコード、RFIDの選定方法、システム導入の手順や、システム調達時に有用な具体的な仕様書の記述内容についても紹介している。さらに、GS1バーコードを積極的に活用したい医療機関向けに、医療機関でGS1コードを発行するための、事業者コードの取得についても開設した。この手順書を活用することで、より多くの医療機関で標準バーコード・RFIDの活用が進み、また各社の電子カルテの標準機能として実装されることを望む。