Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-04] 「あじさいネット」におけるオンライン診療の推進とオンライン診療アプリケーションを利用したPHR構築の取り組み

*Takehiro Matsumoto1 (1. Department of Medical Informatics, Nagasaki University Hospital)

  長崎県のあじさいネットは、県内の主要38拠点病院の医師記録および看護記録を含む全電子カルテ情報を408医療機関で共有しており、対象患者は15万人を超える。また、診療情報共有以外にも、遠隔画像診断をはじめ様々な機能を追加し、利用価値を高めてきたが、その一貫として、2020年8月、オンライン診療ソフトウエアYaDocを提供するインテグリティ・ヘルスケア社と提携し、YaDoc利用料の専用低価格設定と、あじさいネットとYaDocのデータセンター間接続による、電子カルテ端末単独あるいは、あじさいネット端末単独でのYaDoc起動により、利便性と別途端末不要によるコスト削減を実現した。一方、YaDocには、症状や血圧等の入力機能があり、これをオンライン診療時のみでなく、対面診療時も利用することで、PHR(Personal Health Record)としての利用も開始した。現在、循環器疾患にて、脈拍、血圧等を利用した慢性心不全等の支援、呼吸器疾患では、脈拍、酸素飽和度あるいは、CAT問診等にてCOPDの支援を企画している。また、令和4年度の地域医療・介護総合確保基金事業として、患者のスマートフォンとBluetooth通信により、測定結果を自動で取得できる①体組織計付き体重計②体温計③血圧計④パルスオキシメーター⑤活動量計を10医療機関に3セットずつ30セットを貸与し、診療所診療、訪問診療、病院診療等での臨床的な効果を評価する実証事業を準備しており、このような機器を有効に活用すれば、自宅での状態がより迅速正確に把握できるようになり、外来診療の質向上に大きく貢献するものと思われる。これをオンラインでも利用することで、オンライン診療とPHRのsynergy効果にも期待している。