Japan Association for Medical Informatics

[3-E-1-03] Apache Camelを利用したSS-MIX、FHIRへのデータ変換の試み
〜 BML社電子カルテ"Qualis"への検査結果データ移行事例から 〜

*Katsuhiko Nishino1,2, Syunsuke Nojiri1 (1. 見附市立病院, 2. 聖籠町国民健康保険診療所)

Apache Camel, SS-MIX, FHIR

Apache Camel(以下、Camel)は、Enterprise Integration Patternsを実装したJavaのオープンソースのデータ統合フレームワークである。ビジネス分野ではデファクトスタンダードであるが、医療分野へ応用した国内報告例は少ない。また、厚生労働省電子的診療情報交換推進事業(Standardized Structured Medical record Information eXchange、SS-MIX)は、HL7 version 2.5(以下、HL7v2)などの国際標準規格に準拠しており、地域医療連携など様々な形で利用されているが、海外ではHL7v2の後継規格であるHL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resource)への移行が進んでおり、国内でもFHIRに準拠した標準規格の策定が進められている。
 聖籠町国民健康保険診療所では、2018年にBML社の電子カルテ”Qualis”が導入されたが、導入前の約4年間の検査結果は、前任医師が市販データベース(FileMaker)で作成した医療情報システムに保存されていた。QualisにはSS-MIX形式の検査結果取込み機能があり、院外の結果は委託先の機関によりSS-MIX形式へ再出力されてデータ移行できたが、院内の結果は変換プログラムを自主開発する必要があった。プログラムの概要は、①FIleMakerへのJDBC接続とデータ抽出、②HL7v2メッセージ(ORU_R01)への変換、③ファイル出力であったが、Camelのコンポーネントを利用することで効率的に開発できた。また、CamelにはFHIRのコンポーネントも公開されており、同時にFHIRへ変換する技術的な検証を行った。
 急速に普及しているFHIRへのデータ移行に有用な開発手法の1つと思われ、その経験を報告する。