一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-1-05] がんゲノム臨床情報収集項目のHL7 FHIR記述仕様の策定に関する研究

*土井 俊祐1、岡本 潤2、玉井 郁夫3、大垣内 多徳3、大江 和彦2、山下 芳範4、河野 隆志3、福田 博政3、須藤 智久3、白石 友一3、加藤 譲3、高阪 真路3、大熊 裕介3、柴田 大朗3、鈴木 達也3 (1. 東京大学医学部附属病院 企画情報運営部, 2. 東京大学大学院 医学系研究科, 3. 国立がん研究センター, 4. 福井大学医学部附属病院)

HL7 FHIR, Cancer Genomics, Standardization, Interoperability

ゲノム医療の普及に伴い、がんゲノムプロファイリング検査数の増加が見込まれる一方、がんゲノム情報管理センターに臨床情報の登録を行う医療機関の負担軽減が課題となっている。これを解決するためには、より汎用的な方法で電子カルテから自動的に臨床情報を収集するシステムが必要である。そこで本研究では、次世代医療情報標準規格であるHL7 FHIRをこれに応用するため、臨床情報をFHIR形式で記述する仕様を策定することを目的とした。方法として、1)臨床情報収集項目の全項目をFHIR形式で記述するためのマッピングに関する仕様と、2)FHIR形式でデータを送受信するためのデータ作成方法を策定した。1)について、臨床情報収集項目は8テンプレート164項目を収載しており、この全ての項目に関してデータの種類や形式を調べ、適合するリソース・エレメントを検討した。2)について、現行では臨床情報をテンプレート単位で登録しているため、FHIRにおいても同様の情報単位を表現する必要がある。ここでは厚生労働省標準である「処方情報HL7 FHIR記述仕様」を参考に送信データの仕様を策定した。結果として、臨床情報収集項目の全項目をFHIRの17のリソースにマッピングした。送信データの仕様については、送受信データをBundleリソースを利用したFHIR Documentとして表現した上で、section要素単位でFHIRリソースをグループ化することでテンプレートを表現できるよう工夫した。考察として、本研究では全ての臨床情報収集項目をFHIR形式で記述する方法を実現したが、実際にFHIR形式でデータを作成・送受信するためには、FHIRへの適合性の検証やバリデーションが必要であり、引き続き課題とする。本研究はFHIRにおける1ユースケースに過ぎないが、今後同様の研究用データにおける利用に幅広く展開が可能であると考える。