一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-1-06] がんゲノム情報における情報連携でのFHIR適用の試行

*山下 芳範1、玉井 郁夫2、土井 俊祐3、大江 和彦3、河野 隆志2、福田 博政2、須藤 智久2、白石 友一2、加藤 譲2、高阪 真路2、大熊 裕介2、大垣内 多徳2、柴田 大朗2 (1. 福井大学, 2. 国立がん研究センター, 3. 東京大学)

FHIR, Data exchange, Network

[背景]
がん遺伝子パネル検査を受けた患者さんのうち、がん診療データベースにデータを登録することに同意した患者さんの検査結果や診療情報のデータについては、病院よりがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に登録を行う仕組みが構築されている。
しかしながら、診療情報の登録については手作業が多く、病院内の担当者の大きな負担となっているだけでなく、情報の信頼性などの確保でも課題となっている。
[方法]
本院では、登録を行うにあたって、専用の端末から手作業で実施していた。地域連携に関しては電子カルテからSS-MIX2として情報抽出を行っており、患者を登録することで自動的に必要な情報が変換されている。
今回、国立がん研究センターと東大病院と共同で、登録情報の電子化を試行的に行うこととなった。
これまでは、SS-MIX2のみであったが、今後の情報交換の標準となるFHIRに対応することとした。
電子カルテからは、これまでのSS-MIX2向けのインターフェースを活用し、FHIR用の中継システムを構築し、C-CATに向けてはFHIRのRESTインターフェース経由での情報交換が行える形で実現を行っている。
[結果]
地域連携向けのSS-MIX2用の出力から同じHL7形式で情報が取得できることから、これをFHIR用ゲートウエイに転用することで実現が行えた。
しかしながら、必要な情報の違いから修正が必要なものもあったが、C-CAT向けのデータ作成は可能であった。
[考察]
FHIRを用いることで、システム間の通信がRESTインターフェースで行えることから、今回の試行に限らず応用が可能である。
効果的に運用を行うためには、個別対応ではなく標準化を活用するための医療情報システム側でのFHIR対応が望ましい。