一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-2-04] 健康アプリ「アスマイル」

*山本 陵平1、土岐 博1、大山 飛鳥1、木虎 秀二1、瀬戸 ひろえ1、金谷 玲子1、新澤 真紀1、守山 敏樹1 (1. 大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター)

Asmile, lifestyle modification, smartphone apps, wearable physical activity tracker

食習慣、運動習慣、喫煙、飲酒等の生活習慣は、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病等の生活習慣病の発症・進行に深く関与しており、その予防には健康的な生活習慣の維持が重要である。近年、生活習慣の改善ツールとして注目されているのがウェアラブル機器である。ウェアラブル活動量計の歩数増加効果を評価したランダム化比較試験のシステマティックレビューによれば、ウェアラブル活動量計によって歩数が+1000~2000歩/日増加する事が明らかにされている。複数の生活習慣を改善することによって生活習慣病を改善することを目標としたスマートフォンアプリも開発されている。2022年4月には「高血圧症治療補助プログラム」が「成人の本態性高血圧症の治療補助」の適応を取得しており、スマートフォンアプリが高血圧の治療法の選択肢の一つとなった。
大阪府は、大阪府民の生活習慣の改善を目的としたスマートフォンアプリ「アスマイル」を2019年に一般公開した。日常的な生活習慣(歩数、体重、体温、睡眠時間、朝食摂取、歯磨き)をアプリに記録することによって、アスマイルポイント付与される。週間あるいは月間アスマイルポイントが一定レベルに達すると、電子マネー等の特典が抽選で付与される。このような特典による動機づけによって、健康的な生活習慣の維持を目指している。テレビCMによる入会特典の宣伝などのキャンペーンの結果、2022年に総会員数30万人を超えた。
我々の研究グループでは、アスマイル参加者が自分の健康状態を簡単にイメージできる資料として、最新の特定健診結果に基づいた3年後の糖尿病、高血圧、脂質異常症の発症予測確率を表示するアプリを、機械学習アルゴリズム(gradient boosting decision treeモデル)を用いて開発し、2021年12月にアスマイルに追加実装された。本口演では、大阪府が大阪府民の健康増進を目的として社会実装した健康アプリ「アスマイル」を紹介するとともに、今後の課題について議論したい。