[3-F-1-01] 2019年と2020年における日本の外来受診患者数の比較
administrative claims database, number of outpatients, patient survey
【目的】 2019年の新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の状況下において、感染を恐れた受診控えの影響から外来受診患者数が減少したと報告されている。高齢者や慢性疾患患者において治療中断は重症化のリスクは高く、定期的な外来受診は必要である。本研究では、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて外来受診患者数の変化を明らかにした。 【方法】 NDBの医科外来レセプトを使用した。2019年と2020年の各延べ患者数をICD-10コードに基づいた傷病名別及び年齢階級別に集計した。保険診療で外来受診した延べ患者数について、全体の増減において全疾患の減少患者数が占める各疾患の減少患者数の割合(全体の増減に占める割合)を計算した。患者数減少に一定程度寄与すると考えられるものとしてこの割合が1%以上減少したものを抽出した。また、各疾患の患者減少率を{1-(2019年平均患者数/2020年平均患者数)×100}で算出した。 【結果】 100万人日当たりの外来受診日数は、2019年の33,466日から2020年の30,127日へ9.98%減少した。全体の増減に占める割合が1%以上減少している疾患は71疾患であった。減少率の大きい疾患は痔、インフルエンザ、嚢胞性腎疾患、皮膚炎、皮膚及び粘膜病変(減少率:76.2%/ 71.1%/67.4%/ 63.2%/ 52.1%)であり、感染症や非急性疾患に分けられた。 【結論】 2019年から2020年にかけて全体の外来受診日数は減少し、感染症や非急性疾患で明らかに減少したことが分かった。本研究では、受診患者数の減少がCOVID-19 感染拡大か、各疾患自体の発症の減少によるものか要因は明確ではない。しかし、感染拡大による医療状況の変化を示す指標として、NDBを利用し早急に集計可能であることは医療政策の決定において一助となることが期待される。