[3-F-1-02] 二次医療圏内での急性期病院の再編検討に資する人口重心を応用したシミュレーション分析
Center of population receiving medical treatment, Advanced medical device, GIS, Regional medical care plan
【目的】現在、山口県の下関医療圏には急性期医療を担う300~400床の公立・公的等の病院が4つある。この地域では少子高齢化が全国に10年先行し、医療需要が増大すると共に、医師の高齢化、若手医師の減少が進行している。このような背景から地域医療構想調整会議では、高度急性期・急性期に特化した病床数 500床以上の規模の基幹病院が複数あること等を目的とした再編が進められることとなり、国の重点支援区域にも指定された。ただ、4病院の医療機能にはあまり差が無いことから、その調整が難航すると予想される。このことから4病院再編の検討に資することができるよう、将来的な受療人口重心の変化や高度医療機器の各重心指標などを活用した分析を行うこととした。 【方法】病床機能報告による新入院患者数、高度医療機器の設置数や医療従事者数、並びに医療機能情報提供制度で報告される外来患者数や高度医療機器の検査件数などの各医療機関のデータを利用して、下関医療圏内での高度医療機器の分布状況等を重心分析により把握し、医療機関での受療の可能性がある住民分布のバランス点である受療人口重心との距離と方位の比較分析をレーダーチャート等を利用して図化すると共に、4病院のうち2病院を500床以上の急性期病院、他の2病院を200床程度の回復期病院と仮定したシミュレーションを行い、それぞれの状況を比較検討した。 【結果と考察】500床以上と想定する2病院の選択により、受療患者数や検査件数の変化など、地域住民に対する影響度が非常に大きいことが判った。このことから、より多岐にわたるデータ分析を考慮して再編計画を進める必要があると考えられる。 【結語】今回は再編の対象となる4病院を中心とした検討を行ったが、今後は医療圏域内の他の医療機関の動向等も踏まえたシミュレーション等を行い、地域医療構想の実現により有効な資料の提供を目指すこととしている。