Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-03] 北海道における訪問看護サービスの地理的アクセシビリティ

*Kazuki Ohashi1, Kensuke Fujiwara2,1, Takumi Tanikawa3,1, Kyohei Bando4, Yasuhiro Morii5,1, Katsuhiko Ogasawara1 (1. 北海道大学大学院 保健科学研究院, 2. 小樽商科大学 商学研究科, 3. 北海道科学大学 保健医療学部, 4. 北海道大学大学院 保健科学院, 5. 国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)

Home-visit nursing, Geographical accessibility, Two-step floating catchment area method

【背景】在宅医療は医療・介護・福祉分野の連携によって成り立っており、本研究の対象である訪問看護は、医療や介護分野で在宅医療を支えている。北海道では、2020年に「在宅医療の提供体制を考える際の地域単位」(以下、在宅医療圏)として39圏域が設定された。政策的な視点からは、こうしたサービスへの平等なアクセスが望まれるものの、各在宅医療圏の訪問看護の利用しやすさについて定量的な評価はされていない。本研究では、医療サービスの利用しやすさの指標である地理的アクセシビリティを在宅医療圏別に分析した。
【方法】対象は北海道の39在宅医療圏とし、2 step floating catchment area法を用いて、ある地点における訪問看護事業所の需要供給比に基づき地理的アクセシビリティスコアを算出した。需要側は65歳以上推計人口、供給側は訪問看護師数とし、訪問看護サービス提供範囲は既存の資料を参考に①30分圏内、②110分圏内で漸減(訪問看護事業所と利用者間の移動時間が長いほどサービスの提供しやすさが低下すると仮定しガウス型の時間減衰関数を設定)の2つのシナリオを仮定した。
【結果】各在宅医療圏の平均地理的アクセシビリティスコアを比較すると、シナリオ①の差は約14倍であった。最も高い在宅医療圏は札幌市であり、渡島東部、旭川市、網走、岩内と続いた。最も低いのは南十勝であり、その他、根室や遠軽、石狩、東胆振が低かった。シナリオ②でも、札幌市、旭川市、渡島東部は高く、南十勝や根室市、東胆振は低かった。シナリオ①に比べ、供給量の多い都市部に隣接する在宅医療圏(例えば、石狩)で同スコアが上昇した。
【結論】北海道の在宅医療圏における訪問看護の相対的な地理的アクセシビリティを評価し、その地域差を推定した。今後、各在宅医療圏の訪問看護利用数を用いた地理的アクセシビリティスコアの妥当性の検証が望まれる。