[3-F-1-06] 北海道における一次脳卒中センターの均てん化シミュレーション
Acute ischemic stroke, mechanical thrombectomy, Geographical accessibility, GIS
【背景・目的】北海道では急性期脳梗塞治療法である血栓回収療法の治療件数の地域格差が指摘されている。日本脳卒中学会は脳卒中の医療供給体制の全国的均てん化に向けて、一次脳卒中センター(PSC)の認定や血栓回収療法が常時実施可能なPSCの中核を担うPSC Core施設の認定を進めてきた。我々は昨年の連合大会において、65歳以上人口を需要とした治療可能施設への空間的アクセス性評価を行い、札幌市近辺と比較してそれ以外の地域では空間的アクセス性が劣ることを報告した。本研究では北海道の脳卒中医療供給体制の均てん化に寄与する情報を取得するため、脳卒中患者に見立てた1152個のランダムポイントを需要とし、PSCの治療可能件数を供給として、地理情報システム(GIS)により急性期脳梗塞治療の需給バランスの乱れを算出した。【方法】1152のランダムポイントの内、PSCから90分以内にアクセス可能なポイントを治療可能需要点、それ以外を治療不可能需要点と定義し、PSCの治療可能件数に関する感度分析を行った。また現状のPSC Core施設における治療不可能需要点の内、現状のPSCからは治療可能需要点となるポイント数をPSCごとに集計した(PSCの潜在的需要点)。【結果・考察】全施設を対象とした分析では、治療可能需要点は760であり、人口カバー率は82.9%であった。感度分析の結果からは十勝、根室、釧路、宗谷二次医療圏といった人口カバー率の低い地域ではカバー率への影響は小さいことが明らかになった。加えて、PSC Core施設の治療可能件数を超える潜在的需要点を有するPSCは2か所存在しており、急性期脳梗塞治療の需給バランスをとるためには、人口カバー率の低い地域の拠点機能の強化や潜在的需要の高いPSCのCore施設化が均てん化に有効であると考えられる。